2009年8月23日日曜日

学びの情報基地(8)びっくり実験 科学の目

(読売 8月11日)

ユニークな実験メニューを考え、人気を集めている科学館がある。

「せーの、吸ってー、吐いてー!」
垂直に立てられた透明な筒の底に、
16ポンド(約7・2キロ)のボウリング球。
上部から延びた8本のチューブで、
子どもが力いっぱい空気を吸うと、球がグーンと浮き上がった。

「エーッ」、「うそみたい!」子どもたちは目を丸くする。
球の上下の気圧差を利用した教具。
球が最上部に達すると、全員が「すごーい」と拍手に沸いた。

京都市の市青少年科学センター。
市立大藪小学校6年生が、「見えない空気の不思議な力」の
実験授業に訪れた。
山田海斗君(11)は、「もっとほかの授業も受けたい」と目を輝かせた。

「うちの自慢は、オリジナルの教材・教具なんです」、
同センターの八木陸郎・首席指導主事(59)。
中学校の理科教諭や元教諭らによる講師陣が知恵を絞り、
開館後40年間で約320種類の実験メニューを考えてきた。

同市立小中学校254校の小学6年と中学1年は年1回、
必ず同センターで授業を受ける仕組みに。
同小の河原雅春教諭(37)は、
「子どもを引きつける授業展開は、我々にも勉強になる」

同センターでは、小学校教員などを対象に、
実験指導の研修を行っている。
子どもの理科離れが進んでいるとも言われるが、
理科が苦手な教員も少なくない。
小学校教員の養成課程は、基本的に文系で、理科の楽しさを
子どもに伝えられるほど深く理解するのは容易ではない。

科学の不思議に魅了される子どもは、決して少なくない。
岐阜県瑞浪市のサイエンスワールド
(同県先端科学技術体験センター)は、大型連休には1日3000人、
年間9万人が訪れる人気施設。
常設展示物が、ほとんどないのが特徴。

小中学生・高校生の授業や、親子、主婦向けの科学工作など、
約200種類の実験メニューを用意。
ほぼ毎週、実施内容を入れ替えるため、
いつ行っても新しいテーマが学べる。

同施設のモットーは、「意外性」
バナナがクギを打てるほど凍る液体窒素に手を入れさせるなど、
危険を伴う実験も、理科教諭歴20年前後のベテラン職員の下で行う。
小中学校の授業でも、
〈1〉子どもに、「先生」と呼ばせず「おじさん」と呼ばせる
〈2〉なるべく教えず自分で考えさせる
〈3〉頭の良しあしで評価しない――など、
自由な雰囲気も子どもたちの心を開放的に。

「英語の『ワンダフル』は、『不思議と驚きでいっぱい』の意味。
感性の土台に積み上げられた知識こそ、生きた知識になる」と
日比野安平館長(61)。
いつの日か、ここからノーベル賞学者が生まれる日を夢見ている。

◆京都市青少年科学センター
 親子など2人1組で実験・工作を行う「楽しい実験室」を開催。
 望遠鏡作りなど26テーマ。

◆岐阜県のサイエンスワールド
 夏休みの科学研究相談を行っている。
 テーマ選択や実験方法などを助言。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090811-OYT8T00320.htm

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