2011年1月26日水曜日

検査カフェへいらっしゃい

(2011年1月16日 読売新聞)

健康診断を受けていますか?
病気になる前に不調を見つけ、治療を受けたり生活習慣を改めたりして、
健康に1年を過ごしたい。

チャンポンやラーメンの食券でも出てきそうな自動券売機だが、
メニューは料理ではない。
「血糖値」、「コレステロール」、「貧血」といった項目--。

熊本市の熊本大病院には、気軽に血液検査を受けてもらおうと、
設置された「検査カフェ」の券売機がある。
「病院の食堂にあるのと同じ」
中央検査部技師長の池田勝義さん(53)が説明すると、
検査に訪れた同市の主婦、千村美樹さん(42)は「へえー」と驚いた。

千村さんが買ったのは、「血糖値が気になる方 800円」の券。
昨年の人間ドックで、初めて糖代謝に異常が出たため、気になっている。

券を受付に出し、申込書に氏名や住所のほか、
「医療機関で診察を受けていますか」といった問診。
次に、検査室で採血。
券の購入から、10分程度で終わった。

1週間後に郵送された結果報告書に、
「血糖レベルが基準値をわずかに上回っており、注意が必要」、
甘いものやでんぷん質を取りすぎないように、
適度な運動をするようアドバイス。
「気になる項目だけ調べられるし、料金も思ったより安かった。
糖尿病にならないよう、生活習慣を改善したい」

カフェは、熊本大教授で同病院中央検査部長の安東由喜雄さん(57)が、
「健康について知る場を提供したい」と考案。
2009年の設置以降、利用者はリピーターも含め、延べ約1640人。
「アメリカは、検査費用が高い」と、帰国の際に来る人や 県外からの観光客も。

検査データは、臨床検査専門医や検査技師らが週1回開く判定会議で検討。
異常が見つかる人は、約6割。
前立腺がんや重い貧血と分かり、治療につながったケースも。
「病気が進行する前に食い止め、医療費の削減にもつなげたい」

検査カフェのメニューは13種類。
「健康が気になる方 1800円」は、企業や自治体の健診と同じ、
基本的な18項目。
脂質異常や肝臓、腎臓の機能低下、病気による貧血などがないか調べる。

「お酒の飲みすぎが気になる方 1200円」は、
肝臓や胆のうの機能に絞った5項目。
「痛風が気になる方 500円」は、尿酸など3項目。
「中性脂肪 200円」、「心電図 1400円」など12種類のオプション。

受け付けは、月曜から金曜午前10時~午後4時。
健康保険証や予約は必要ない。
結果後、説明を受けたい人は、毎週火曜午前10時半~正午の
「検査『知』外来」を予約できる。
問い合わせは、生理機能検査室(096・373・5694)。

自治体の健診やがん検診も、上手に活用したい。
市町村が行う特定健診は、国民健康保険に加入している
40~74歳の人が対象。
福岡市は500円、熊本市や佐賀市は1000円など低価格、
身体測定や血液、尿などの検査が受けられる。

対象外の加入者のため、熊本市は「30代健診」(自己負担額1000円)
を行っている。
人間ドックの割引にも使える。
午前8時~午後9時、年中無休のひごまるコール(096・334・1507)。

福岡市は今年度まで、「ヘルスアップスクール」(同2700円)で、
18~39歳の人に健診や体力測定、運動指導。
託児付き。各区保健所へ。

佐賀市は、特定健診では検査項目が足りないという人のために、
集団がん検診などを組み合わせた「ミニドック」(同3000円)を設置。
宇部市では、定員250人が1万2000円程度で脳ドックを受けられる。

窓口が分かりにくいため、市役所などで健診ガイドなどの資料をもらい、
説明を受けるのも良さそう。

◆「リパーゼ」も測って/九州大病院の准教授で膵臓専門医の伊藤鉄英さん(53)

職場の検診に加え、膵臓で作られる「リパーゼ」という

脂肪分解酵素の量を独自に調べている。
これが、基準値より多くても少なくても、膵臓に異常がある可能性が。

一般的な検診では、炭水化物を分解する「アミラーゼ」という酵素しか
測らないが、それでは膵臓の状態は必ずしも分からない。
リパーゼを検診項目に加えた企業では、
膵炎が見つかり早期治療につながった人も。
油ものを食べると胃がもたれる、お腹や背中の左側が痛む場合、
病院でリパーゼを測ってもらう。

過度の飲酒やストレスは、膵臓を痛める。
やけ酒はいけない。
私自身、飲むのは早めに切り上げ、好きなカラオケに行き、
日付が変わる前に帰宅するようにしている。

◆半年に1度胃カメラ/福岡市のNPO法人「がんを学ぶ青葉の会」
代表の松尾倶子さん(65)

15年前、スキルス性胃がんと診断、胃の5分の4を切除。
会社の検診で、年に1度胃カメラ検査を受け、異常なしだったのに、
進行がとても早かった。

現在、半年に1度、かかりつけの内科で胃カメラと、血液検査で
腫瘍マーカーの数値を調べている。
レントゲンやCTなどによる被爆を恐れ、検査に消極的な人もいるが、
私は必要なら受けるようにしている。

病気をきっかけに、油や塩分の少ない粗食を心がけ、ジョギングをしている。
会食の時は気にせず何でも食べ、悪天候の日や気分が乗らない時は
無理してまでは走らない。
気楽に構え、「こうしなければ」と自分を締め付けない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/17/131066/

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