2008年5月19日月曜日

地球と暮らす:/47 あそんで学ぶ環境と科学倶楽部 川から歴史が見える

(毎日 5月12日)

江戸時代に人や物を運んだ川や運河。
車社会が発達し、現代人から水辺は忘れ去られたが、
東京の川には歴史や環境を学ぶ教材がたくさんある。

NPO「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」は、
都市の川をボートでめぐるエコツアーを実施。

隅田川に注ぐ都市河川の日本橋川と神田川をめぐる半日ツアーに同行。
親子連れやカップルら10人を乗せ、JR水道橋駅近くの日本橋川を出発。
普段は上からのぞき込んでいた川を、ボートでゆっくり進む。
水面からの目線で眺めると、コンクリートの護岸が切り立っている。
高速道路の橋脚が視界をさえぎる。
高度成長期に「用地買収に時間がかからない」という理由で、
川の上に高速道路が次々と建設。

倶楽部の代表で、船長兼ガイドの中林裕貴さんは、
川は、私たちの便利な生活の『裏方』として追いやられてしまった」。

神田川に入ると、両方の護岸はギリギリまで高い塀がそびえる。
川に面した側には窓のない家もある。
「神田川は今はずいぶんきれいになった。
が、生活排水で川が汚れていたころは悪臭がひどく、
家は川に背を向けていた」。
最近は、川辺にテラス席を置くレストランも見かけるようになった。

日本橋川では、千代田区一ツ橋付近で、護岸の下に石垣が見えた。
江戸城の外堀として利用されていた日本橋川の石垣の名残で、
伊豆の採石場から石船に乗せ江戸に持ち込んだ。

約2時間のツアーを終えた乗客たちは、
「川から江戸や東京の歴史を見ることができた」、
「ふだんは遠い存在だった川を身近に体験できてよかった」と満足。

倶楽部は、都心の川の魅力に気付いたボートのオーナーら40人が
02年6月に結成。
05年にNPO法人化し、一般を対象にエコツアーを始めた。
昨年4月からは、排ガスを出さない電気で動くエコボートを導入。
中林さんは、「遠くの大自然を体験するのもいいが、
身近なエコツアーは、翌日から日常生活を見直すことにもつながる」。
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神田川・日本橋川エコツアーは、1日コース(4時間)大人5000円。
半日コース(2時間)4000円。
「小名木川」や「芝浦・天王洲」をめぐるコースもある。
電話03・5547・8778、ウェブhttp://enjoy-eco.or.jp/

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/12/20080512ddm016040007000c.html

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