2008年5月21日水曜日

スポーツ21世紀:新しい波/267 バレー協会・個人登録制度/2

(毎日 5月10日)

今年2月に文部科学省が示した新しい学習指導要領で、
学校の部活動が初めて次のように規定。
スポーツや文化および科学などに親しませ、学習意欲の向上や
責任感、連帯感の涵養などに資するものであり、
学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意」
競技的な視点にとどまらず、部活が持つ生活指導などの役割を重視。
中学校では、12年度からの実施が予定。

大阪市中学校体育連盟バレーボール部会の総会も
終盤に差し掛かったころ、一人の男性教諭が立ち上がった。
「中学校のバレー部員は、積極的に参加している子ばかりじゃない。
私はプロのバレー指導者じゃない。
将来の全日本選手なんて育てられない。
でも、プロの教師です」。

こう言い切った男性は、自身が勤務する学校の例を挙げた。
「髪の毛を茶色に染めた子がいます。
その子に、『おい、ちょっとバレー部に顔を出してみろよ』
と声を掛けるんです。
生活指導の一環として、バレーを通じて人間を育てていこうと。
そんな子に、『個人登録費を払え』なんて言えば、部に来なくなる」。

日本バレーボール協会(JVA)の幹部は、
参加者の拍手に戸惑いの表情を浮かべた。
JVAの伊藤晃執行役員は、新登録制度の狙いについて
「バレーにかかわるすべての人の支えにより、
組織の基盤整備や競技普及、強化などを進める」。

しかし、「バレーにかかわるすべての人」との線引きは
明確なようでいてあいまい。

別の教諭は、「中学生は、その時々の気分で部を出たり入ったりする。
その中の一部が定着して、選手として育っていく」と現状を説明。
「出たり入ったり」の生徒にまで、登録費の支払いを求めていくのか。
この教諭は、「普及にかえってブレーキがかかるのでは」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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