2008年5月18日日曜日

やっぱりにおいが決め手

(サイエンスポータル 2008年5月9日)

マウスが雄、雌の違いや個体を見分けるのは、
フェロモンとにおいを感じる細胞の働きによることを、
理化学研究所と米ストワーズ医学研究所の研究チームが突き止めた。

動物の行動や生理的な変化に関与するフェロモンは、
尿や体からの分泌物に含まれ、マウスなどげっ歯類では
鼻の中にある鋤鼻器という器官で、「におい」として感知。

鋤鼻器の中に、250種類ある嗅覚受容細胞にフェロモンが結合すると、
細胞内でカルシウムイオン濃度が上昇し、
その信号が脳へ伝わり、行動や生理的変化となって表れる。

理化学研究所脳科学総合研究センターの中井淳一研究員と
ストワーズ医学研究所のロン・ユウ博士らは、
嗅覚受容細胞でカルシウムイオン濃度が上昇すると、
蛍光を発するマウスをつくりだした。

マウスの鋤鼻器のスライス標本に薄めた尿をふりかける手法で、
どの細胞がどの尿に反応するかを調べた。
この結果、雄、雌どちらかにしか反応しない細胞があり、
去勢されたマウスの尿には雄にのみ反応した細胞も
無反応であることなどが明らかになった。

同腹の兄弟姉妹とそれ以外のマウスでも
明確な反応パターンの違いが見られ、
同腹の兄弟姉妹の尿に対しても反応パターンは全く同じではない。

これらの結果から、フェロモンに反応する嗅覚受容細胞の
パターン認識により、雄、雌の違いだけでなく、個体の識別も行われている、
と研究チームはみている。

http://scienceportal.jp/news/daily/0805/0805091.html

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