2008年5月23日金曜日

<サイエンスリポート>歩き方の癖とらえる

(東京新聞 2008年5月6日)

マスクやサングラスで変装しても、あなただということはバレバレですよ。
歩き方のちょっとしたくせで個人を特定する「歩容認証」技術を、
日本科学未来館で開かれた新映像技術の紹介イベント
「Dive into the movieの現在そして未来」の会場で体験。

この技術を開発した大阪大学産業科学研究所の八木康史教授は、
「空港や街中の人ごみから犯人を見つけるなど、犯罪防止に役立てたい」。

「カメラの前を歩いて」の指示に従い、ちょっと緊張しながら
直線距離を4、5メートル歩く。待つこと数十秒。
分析結果は、歩幅70センチ弱、歩行周期約0.9秒。

「猫背度」は小、だけど「左右非対称性」が大でびっくり。
左右で腕の振りや歩幅が違った。
納得がいかずもう一度、左右対称になるよう細心の注意を払って歩いた。
結果は同じ。くせというものはなかなか直らない。

歩行は、足をけり出す、腕を振るなどを繰り返す「周期的」な運動。
歩く姿を撮影し、シルエットの連続画像を解析すると、
周期的に現れる特徴、つまり一人一人の歩き方のくせがとらえられる。
シルエットを使うのは、服の色柄の影響を防ぐため。
高さ30画素ほどの粗い画像でも、94%の確率で個人の照合ができる。

「指紋や目の虹彩による認証とは違い、遠くから気づかれずに識別」。
撮影の環境が良ければ、家庭用のウェブカメラとノートパソコンでも認証。
実際の街中では、背景が複雑でシルエット抽出が難しいため、
赤外線カメラでくっきりと撮影する必要。
歩き方の特徴は、角度によりとらえにくくなり、
どのような方向からでも認証できるよう研究を進める。

この技術、セキュリティー以外でも役立つ。
アニメのキャラクターに人間らしい動きをさせたり、
パーキンソン病の患者さんの体のふるえから、病気の進行や
リハビリ効果を測るなどの応用も。
ひょっとすると、オリンピック選手の強化にも威力を発揮するかも。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008050602009235.html

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