(2009年8月3日 毎日新聞社)
脳梗塞の発症後に起きる脳の炎症で、
神経細胞が死にいたる詳しいメカニズムを、
慶応大の吉村昭彦教授(免疫学)らが明らかに。
後遺症を減らしたり、治療が遅れても効果がある
治療方法の開発が期待。
3日の医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)で発表。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳組織が損傷する病気。
損傷後、その周囲が数日間炎症を起こして神経細胞が死滅し、
体のまひや言語障害などをもたらす。
炎症のメカニズムが不明で、発症後1日が過ぎると
有効な治療法がなかった。
炎症にかかわるたんぱく質として、インターロイキン(IL)17とIL23が
関係していると仮定。
脳梗塞を再現したマウスの脳で、ILの発現を調べた。
発症1日目、梗塞部分に死んだ細胞を捕食する免疫細胞
「マクロファージ」が集まり、IL23を作っていた。
別の免疫細胞「γδ型T細胞」が集まって、IL17を分泌。
そのピークは発症3日目。
このT細胞は、IL23の刺激でIL17の分泌を始める性質があり、
2種類のILが連鎖的に作られ、
時間差で炎症を悪化させる仕組みが分かった。
二つのILが分泌されない遺伝子欠損マウスを作ると、
通常と比べて梗塞部分の体積が約4割小さくなった。
T細胞が梗塞部分に集まることを防ぐ薬剤を使っても、
ほぼ同じ効果があった。
同様のメカニズムが人間にある可能性は高い。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/8/3/105248/
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