2009年8月13日木曜日

脳梗塞の仕組み解明 たんぱく質2種、炎症悪化作用

(2009年8月3日 毎日新聞社)

脳梗塞の発症後に起きる脳の炎症で、
神経細胞が死にいたる詳しいメカニズムを、
慶応大の吉村昭彦教授(免疫学)らが明らかに。

後遺症を減らしたり、治療が遅れても効果がある
治療方法の開発が期待。
3日の医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)で発表。

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳組織が損傷する病気。
損傷後、その周囲が数日間炎症を起こして神経細胞が死滅し、
体のまひや言語障害などをもたらす。
炎症のメカニズムが不明で、発症後1日が過ぎると
有効な治療法がなかった。

炎症にかかわるたんぱく質として、インターロイキン(IL)17とIL23が
関係していると仮定。
脳梗塞を再現したマウスの脳で、ILの発現を調べた。

発症1日目、梗塞部分に死んだ細胞を捕食する免疫細胞
「マクロファージ」が集まり、IL23を作っていた。
別の免疫細胞「γδ型T細胞」が集まって、IL17を分泌。
そのピークは発症3日目。
このT細胞は、IL23の刺激でIL17の分泌を始める性質があり、
2種類のILが連鎖的に作られ、
時間差で炎症を悪化させる仕組みが分かった。

二つのILが分泌されない遺伝子欠損マウスを作ると、
通常と比べて梗塞部分の体積が約4割小さくなった。
T細胞が梗塞部分に集まることを防ぐ薬剤を使っても、
ほぼ同じ効果があった。
同様のメカニズムが人間にある可能性は高い。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/8/3/105248/

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