(日経 2月24日)
住宅用の太陽光発電市場が急拡大。
2009年、住宅用の太陽電池出荷量は、前の年の2.3倍。
新たに生まれた市場には、異業種からの新規参入。
害虫駆除など住宅向けサービスのサニックスも、そのうちの1社。
韓国製の太陽光発電システムを輸入し、
日本製よりも大幅に割安な価格で販売、シェアの拡大を目指す。
宗政伸一社長に、市場の見通しと勝算を聞いた。
——異業種からの新規参入。
なぜ、太陽光発電の販売を始めようと考えたのか?
「完全な新規参入ではない。
換気がしにくく、湿気がこもりやすい床下や屋根裏用の換気扇の
電源として、1平方メートル程度の小さな太陽光発電パネルを
京セラから買って、20年以上前から販売。
太陽光発電ができるくらいの晴れた日の空気を、
換気用に取り込み、雨の日など、湿度の高い日は太陽電池が
発電しないため、換気扇も回らない仕組み。
18万円強の価格、これまでに32万世帯に導入」
「二十数年前、発電用途の製品も市場投入。
太陽熱温水器と組み合わせた製品の販売。
価格が300万円以上する富裕層向けの商品。
数十セット売れたものの、それ以降は尻すぼみで
普及させることはできなかった」
——失敗をしたのに、あえて再度チャレンジするのはなぜ?
「政府の普及策が整ったため。
余剰電力を、1kw時あたり48円で電力会社が購入する制度が
昨年11月からスタート。
この制度が議論になり始めた2008年末あたりから、
準備の動きを始めた。
サニックスは、太陽光発電パネルを作っていないので、
国内のほか、韓国、中国のメーカー5~6社の製品が
使えるかどうか調査。
比較検討する中、国内製パネルでは価格面での普及が難しい。
富裕層だけを対象にした製品ではダメだった経験から、
利用者の費用負担を極力抑えた水準にすることを最も重視。
韓国LGグループのLS産電が生産する製品に決めた。
品質などについて、最終的には私が現地で、
『これなら日本でも売れる』と判断した」
——現在、3.5kwのシステムを工事費込みで129万円で販売。
価格帯はどうやって決めたのか?
「いくら、『割高な価格で、余剰な電気を買ってもらえる制度ができた』
といっても、多くの人にはまだ購入にためらいが。
ローンでなく、一括で購入する場合、
一度に大きな出費になることが間違いないし、
長い期間に制度変更がないとも限らない。
利用希望者の声から、購入に近づく価格帯は100万円程度。
光熱費削減効果によって、初期投資がおよそ10年で元が取れる。
補助金を使えば、今の価格帯でも100万円に近づくが、
補助金なしで100万円の水準を目指したい」
——市場の平均的価格は200万円近い水準。
割安な価格はどうやって実現するのか?
「太陽光発電の流通経路は極めて複雑で、
顧客の手に到達するまでに多くの事業者の手を介している。
経過でマージンが発生し、割高に。
サニックスは、LS産電から太陽光発電システムを輸入、
そのまま自社で販売するので、中間マージンがほとんどない」
「昨年11月から3カ月で、800世帯に販売。
来年度は、これを10万世帯近くに広げたい。
直販だけでなく、販売店を全国で募集し、販売網を広げる。
他社製品を扱う既存の販売店だけでなく、
サニックスの太陽光発電を売る起業家を募りたい。
一般の家庭が負担なく使える価格帯にならなければ、
太陽光発電の本格的な普及はない。
100万円という水準は、その分かれ目になる」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100223.html
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