2010年3月1日月曜日

アルバックの中村会長、製造装置事業「独創性と汎用化、両方を追求」

(日経 2月23日)

エレクトロニクス製造装置のアルバックが、
収益源の多様化を進めている。
従来の事業領域である液晶パネルや半導体の製造に使う
主力の真空装置にとどまらず、環境エネルギー、
資源リサイクル分野などにも参入。
中村久三会長に、激変する世界経済への対応と事業戦略を聞いた。

——世界経済の潮流をどう読む。

米国から中国へ世界経済の中心が急速に移行。
成長をけん引するのは、電子デバイス、ITソフトではない。
エネルギー・環境、資源・材料の分野が重要。
中国、インドやロシア、中東、ブラジルなど、
これらの製造業が大きく成長。
米国の財政状態は、依然として不安定。
中国は、安い労働力を活用し、一大製造拠点として
急成長を続けている。
日本では、円高ドル安、デフレ傾向が長引くだろう」

——主要顧客の薄型テレビ向け液晶パネル分野は何が起きている?

薄型テレビは、まもなく中国市場が世界最大に。
中国は、液晶パネルの国産化政策を進め、
外資メーカーも、中国で生産に乗り出さないと、
製造コストで太刀打ちできなくなる」

製造装置もそう。
日本市場向けと同じ性能の製品を、数分の1の価格で
製造・販売しなければならない。
液晶分野に限らず、あらゆる産業の生産拠点が新興国に展開、
現地企業も急成長。
装置も、新興国で生産するのと同時に、
カスタマーサポート体制を敷く必要」

——世界の潮流に置き去りにされないため、どう対応していく?

「我々は、6年前から構造変化を見越し、
『ポストFPD(フラットパネルディスプレー)戦略』という計画。
液晶パネルや半導体だけでなく、選択と集中をせずに
異分野の技術を積極開拓しようという計画

急速に進む商品の汎用化についていくこと、
独創的商品を開発すること、この2つの課題を同時に追求。
円高ドル安から逃れるため、積極的に海外生産を進めて、
製造コスト競争で勝って、シェアを上げる。
中国で、幅広いエレクトロニクス製造装置拠点、
サービスセンターを置いている。
日本の研究開発拠点で、弊社にしかできない商品を開発し、
事業領域を広げる」

——具体的な攻略分野は?

「『エネルギー・環境』では、永久磁石、2次電池、コンデンサー、
パワー半導体の4領域向け製造装置を開発、供給。
デジタル家電用電子部品製造装置も、重点領域に位置付け。
LED(発光ダイオード)やMEMS(微少電子機械システム)部品の
製造装置も強化」

——太陽電池パネル製造装置事業にも注力。

「太陽光を電気エネルギーに変える発電効率が高い
薄膜太陽電池用の一貫製造装置の拡販を急ぐ。
結晶や化合物半導体向け装置も、性能強化を進めている」

——『資源・材料』分野の事業内容は?

「液晶パネルや半導体、太陽電池パネル製造で使う材料を回収、
リサイクルする事業。
デバイスの成膜工程には、大量の希少資源を使う。
各国で資源の囲い込みが加速。
都市鉱山の鉱脈を持ち、川上を押さえることが
デバイス産業のコスト競争力強化に。
資源を制する国が世界を制する時代で、意義ある事業

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100219.html

0 件のコメント: