2010年3月6日土曜日

十勝の実業団で五輪選手を 引退危機救った病院

(2010年3月1日 共同通信社)

スピードスケート男子団体追い抜きの7、8位決定戦に出場する
日本チームのメンバー、平子裕基選手(27)と土井槙悟選手(26)
の所属先は、北海道帯広市の開西病院。
スケートどころの十勝地方の実業団から五輪選手を出したい、
という人々の思いが、2人を支えてきた。

平子選手は、帯広市に隣接する音更町出身。
明治大時代、2002年ソルトレークシティー五輪に出場、
その後スランプに。
05年春、大学卒業後は親せきの会社に籍を置き、1人で練習。
トリノ五輪出場を逃し、家族に「もう限界なのかな」と漏らした。

そんな時、白樺学園高時代に指導した帯広市職員の
川原正行コーチ(54)と開西病院の幹部らが話し合い、
平子選手を支援しようと立ち上がった。

十勝地方は、長野五輪金メダリスト清水宏保選手(36)ら
数々の名選手を輩出してきた「スケート王国」。
高校や大学を卒業しても、地元に受け入れ先がなく、
「十勝で五輪選手を応援したい」との思い。

病院は平子選手と、同じく十勝の芽室町出身の土井選手を
職員として採用。
06年4月、十勝初の実業団スピードスケート部を設立。

2人は、シーズンオフは病院職員として午前中勤務。
カルテの運搬や機材の発注などが主な仕事。
「平子選手は、カルテが入ったファイルをよく運ぶので、
ネクタイがボロボロになってしまって。
2人とも一生懸命仕事をしている」と医事課長栗林祐子さん(44)。

昨年11月、W杯前半の代表から漏れた土井選手が
職員の前であいさつ。
「支えてくれてありがとうございます。
あきらめないで国内で頑張ります。2人で(五輪に)行きたい」。
涙ながらに話す姿に、「感激した。背中を押してあげたいという
思いが強くなった」と栗林さん。

1回戦で敗退後、平子選手は、「やめようと思っていた時に
手を差し伸べてくれ、トレーニング環境と遠征費を支援してくれた。
ありがとうございますと言いたい」と感謝。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/1/116689/

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