2010年3月11日木曜日

小野清子が見たオリンピック

(sfen)

冬の競技の厳しさを痛感

冬季オリンピックの全15競技のうち、10競技が屋外で行われる。
冬季オリンピックのほとんどの競技が、当日の天候や雪質に
大きく影響されるということ。
どんなに状況が悪くても、選手は皆同じ土俵の上。
いかなるときでも、自分自身をベストな状態に整えることも
実力のうちといわれる。

2月13日(土)は、モーグルの試合を観戦。
試合会場であるサイプレス・マウンテンには十分に雪がなかったため、
より遠くの山から雪を運んでコース整備が行われた。

モーグルの試合観戦では、会場に向かう観客たちのパワーに
驚きと感動があった。
サイプレス・マウンテン行きのバスは、1時間半も
待たなければならなかった。
待合室がなく、雨が降って寒いなかじっと立っていたが、
バスを待つ人々は皆、笑顔。
日本じゃありえない!と思った。
誰も文句を言わず、バスを待っている。
文化の違いをひしひしと感じさせられた。

試合が始まってからの歓声にも驚いた。
皆、自国以外の選手に対しても、素晴らしい滑走には
心からの拍手と、大きな歓声を送る。
そうするほか、選手たちに「よかったよ!」といった称賛を表現する
手段がない。
日本人選手に対しても、大きな拍手を送ってくださったとき、
感謝の気持ちが自然と込み上げてきた。

人種や国籍の垣根を越え、スポーツ観戦を通じて
会場全体がひとつになること。
それこそが、オリンピックをはじめとする国際大会の醍醐味。
オリンピック憲章では、オリンピック開催の目的のひとつが
平和な社会の構築であることを提言。
古代ギリシャの伝統に基づき、オリンピック期間中は
戦争・紛争を停止するよう国連が呼びかけ。
『五輪停戦』、まさにスポーツを通じた平和運動そのもの。

平和運動とともに、現在は環境問題に対する呼びかけや配慮も、
オリンピックの重要な要素。
バンクーバー冬季オリンピックでは、スピードスケートの会場の建設に
倒木やその廃材を利用するなど、あらゆる面で環境に配慮した
運営を行っていた。
オリンピックは、選手やコーチ・役員、選手の家族のためだけでなく、
地球全体、皆のためのイベントである。

11~18日の観戦で最も印象に残った競技は、
フィギュアスケート男子。
銅メダルを取った高橋大輔選手の演技に、大変感動。
自分が努力してきたことを信じて4回転ジャンプを跳ぶんだ、
というその果敢な姿勢に胸打たれた。
苦しい時期を乗り越えてメダルを手にした彼を見ていると、
青春真っただなか!というようなすがすがしさを感じた。

私のすぐ後ろで、欧米人の女性グループが観戦、
高橋選手の演技のあとは、立ち上がって
「ブラボー!ブラボー!」と歓声を送っていた。
彼女らの応援に感謝の気持ちを伝えるとともに、
私も一緒になって喜んだ。

今回のオリンピック観戦では、観客席にいなければ経験できない
貴重な体験ができた。
オリンピックファミリーとして、色んな国の役員の方たちと
観戦した経験もあるが、それとはまた異なる素晴らしい体験に。

http://www.ssf.or.jp/sfen/olympics/index.html

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