2010年3月7日日曜日

楽しい図書館(8)お茶飲み 気軽に会合

(読売 2月13日)

大学図書館が、重厚で堅いイメージから脱却し、学生の利用を促す。

「昔は、本のカード目録や歴代学長の写真が並び、
まじめな雰囲気。
コーヒーの香りが漂う明るい空間になって、うらやましい」

お茶の水女子大学付属図書館1階の「キャリアカフェ」で開かれた、
国立国会図書館の職員採用説明会。
卒業生で、国会図書館職員の中村若生さん(36)は、
職場環境を後輩約50人に説明、母校図書館の変貌に感想を漏らした。

同大図書館は、開架式の書架があり、利用者が出入りする2階に対し、
1階は会議室など、大半は学生立ち入り禁止の閉ざされた空間。
2007年、この1階部分が改装、パソコン70台などを自由に使える
「ラーニング・コモンズ」に変身。

同年末、隣接したスペースに丸っこい形のテーブルや
座り心地の良いソファを設置、コーヒーなどを飲みながら話ができ、
就活イベントも行われるキャリアカフェをオープン。
カウンター業務や本の整理などを手伝う学生アシスタント制度
「LiSA」も始まり、学生たちが図書館の企画に主体的にかかわる。

きっかけは、羽入佐和子前館長(現同大学長)の、
「図書館のサポーターを増やしたい」という一言。
同館図書・情報チームリーダーの茂出木理子さん(47)は、
「図書館も図書の所蔵だけでなく、学生が文章力や発表力を
つけられる場所に変わる必要があった」

現在、1日の利用者数は平日で約1500人、
改善前の1・5倍に増加。
大学院生も含め、約3200人が学ぶキャンパスで高い利用率。

LiSAの第1期メンバーで、文教育学部4年の田辺理子さん(23)は、
「ただ本を借りるだけでなく、自分たちが情報発信する
場にもなるんだ、と勉強になりました」

千葉大学付属図書館は、1994年、蔵書検索もできる
ウェブサイトを正式に開設、2001年に電子ジャーナル提供を
開始するなど、先駆的な取り組みで知られる。
06年秋、教職員や大学院生の連携で、学部生の図書館利用の
拡大を目指すプロジェクト「リエゾン・ライブラリアン」を始めた。

その一つ、07年開始の「授業資料ナビ」は、1、2年生がターゲット。
研究テーマの知識が少ない学生に、具体的な情報源を提示しようと、
教養科目中心に、教員推薦書籍のコーナーを館内に設置。
ウェブサイトもわかるようにした。
09年度前期、ナビ対象本321冊の約50%が貸し出され、
本館の貸出率約12%を大きく上回った。

西千葉キャンパスにある図書館本館サービスグループリーダーの
鈴木宏子さんは、「利用者の評価も高く、今後は専門科目などに
対象を拡大。足を運ばない学生へのPRが課題」

情報獲得手段の多様化に合わせ、大学図書館も変化を迫られている。

◆ラーニング・コモンズ

1990年代、英米の大学図書館で使われ始めた言葉、
厳密な定義はない。
コモンズは、「共有の場」の意味、お茶の水女子大では、
「学生がコンピューターを使いつつ、ディスカッションや
情報発信の場としても使える学習スペース」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100213-OYT8T00268.htm

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