(読売 2月13日)
大学図書館が、重厚で堅いイメージから脱却し、学生の利用を促す。
「昔は、本のカード目録や歴代学長の写真が並び、
まじめな雰囲気。
コーヒーの香りが漂う明るい空間になって、うらやましい」
お茶の水女子大学付属図書館1階の「キャリアカフェ」で開かれた、
国立国会図書館の職員採用説明会。
卒業生で、国会図書館職員の中村若生さん(36)は、
職場環境を後輩約50人に説明、母校図書館の変貌に感想を漏らした。
同大図書館は、開架式の書架があり、利用者が出入りする2階に対し、
1階は会議室など、大半は学生立ち入り禁止の閉ざされた空間。
2007年、この1階部分が改装、パソコン70台などを自由に使える
「ラーニング・コモンズ」に変身。
同年末、隣接したスペースに丸っこい形のテーブルや
座り心地の良いソファを設置、コーヒーなどを飲みながら話ができ、
就活イベントも行われるキャリアカフェをオープン。
カウンター業務や本の整理などを手伝う学生アシスタント制度
「LiSA」も始まり、学生たちが図書館の企画に主体的にかかわる。
きっかけは、羽入佐和子前館長(現同大学長)の、
「図書館のサポーターを増やしたい」という一言。
同館図書・情報チームリーダーの茂出木理子さん(47)は、
「図書館も図書の所蔵だけでなく、学生が文章力や発表力を
つけられる場所に変わる必要があった」
現在、1日の利用者数は平日で約1500人、
改善前の1・5倍に増加。
大学院生も含め、約3200人が学ぶキャンパスで高い利用率。
LiSAの第1期メンバーで、文教育学部4年の田辺理子さん(23)は、
「ただ本を借りるだけでなく、自分たちが情報発信する
場にもなるんだ、と勉強になりました」
千葉大学付属図書館は、1994年、蔵書検索もできる
ウェブサイトを正式に開設、2001年に電子ジャーナル提供を
開始するなど、先駆的な取り組みで知られる。
06年秋、教職員や大学院生の連携で、学部生の図書館利用の
拡大を目指すプロジェクト「リエゾン・ライブラリアン」を始めた。
その一つ、07年開始の「授業資料ナビ」は、1、2年生がターゲット。
研究テーマの知識が少ない学生に、具体的な情報源を提示しようと、
教養科目中心に、教員推薦書籍のコーナーを館内に設置。
ウェブサイトもわかるようにした。
09年度前期、ナビ対象本321冊の約50%が貸し出され、
本館の貸出率約12%を大きく上回った。
西千葉キャンパスにある図書館本館サービスグループリーダーの
鈴木宏子さんは、「利用者の評価も高く、今後は専門科目などに
対象を拡大。足を運ばない学生へのPRが課題」
情報獲得手段の多様化に合わせ、大学図書館も変化を迫られている。
◆ラーニング・コモンズ
1990年代、英米の大学図書館で使われ始めた言葉、
厳密な定義はない。
コモンズは、「共有の場」の意味、お茶の水女子大では、
「学生がコンピューターを使いつつ、ディスカッションや
情報発信の場としても使える学習スペース」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100213-OYT8T00268.htm
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