2010年3月9日火曜日

楽しい図書館(9)絵本の世界 園児浸る

(読売 2月16日)

図書館がある幼稚園で、園児は本を楽しむ。

「おじゃまします」
食事を終えた園児たちが、元気な声を上げて図書館に。
約33平方メートルのこぢんまりとした本の部屋は、
約25人の園児ですぐにいっぱいに。

椙山女学園大学付属幼稚園(名古屋)の「すぎのこ絵本図書館」。
窓のステンドグラスに、桃太郎や赤ずきんの絵が描かれた
明るい雰囲気。
ボランティアの女性が読み聞かせを始めると、
園児は食い入るように聞き入る。
好きな本を取って、床に座って読み始める園児の姿も。
子どもたちは読み終わると、「ありがとうございました」と言って
部屋に戻っていった。

絵本による教育を大切にしている同園では、
毎日、教室ごとに読み聞かせが行われ、各教室には100冊程度の本。
絵本図書館は、2002年、園児たちが落ち着いて
本の世界に浸れるようにと、同園の創立60周年を記念して開設。

約3000冊の絵本や紙芝居などがあり、園児たちは食後や帰宅前に
立ち寄って読んだり、本を借りて家で楽しんだりする。
昼には、ボランティアの母親たちが読み聞かせを行う。
長男が同園に通う名古屋市の主婦、葉吹まりさん(44)は、
「月に1、2回、空いている時間にボランティアを。
子どももここで読んだことがきっかけで、本が好きになった」

地域にも開放しているのが、この絵本図書館の特徴。
「転勤者が多い地域で、1人で子育てに悩む人もいるので、
子育て支援に役立てばと思った」と、椙山美恵子園長。
通常、土曜日の午前中、夏休みは土日以外の毎日、開放し、
幼稚園の教諭が読み聞かせも行うほか、貸し出しも。

言葉の力を育てていくのに、絵本は大切。
読み聞かせで、子どもは本の世界への想像が膨らむと同時に、
読んでくれる親の体温や鼓動も伝わり、親子のきずなが深まる。
絵本ほど大事なものはない」と椙山園長。

図書館を持たない幼稚園や保育所のため、
貸し出しを行うこども図書館も活用。

市立「前橋こども図書館」では、絵本100冊をセットにして
希望する所に3か月間の貸し出しを行っている。

市内には、幼稚園や保育所が約100か所あるが、
法律で図書館の設置が義務づけられている小中高と違い、
図書館を備える所は少ない。
同こども図書館には9万冊の蔵書があり、その多くが絵本で、
読書推進に有効活用。
昔から読み継がれてきた定番の絵本や、
最新の絵本なども合わせて貸し出している。

これまで、28か所に貸し出しを行っている。
同館の渡辺幸江館長は、「子どもたちは、幼稚園や保育所で
多くの時間を過ごす。その時間も、本に親しんでもらえたら」

豊かな読書環境が、子どもの成長につながっていく。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100216-OYT8T00284.htm

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