2010年3月12日金曜日

科学技術予算:編成過程、様変わり 総合科学技術会議の存在大きく

(毎日 3月2日)

日本の科学技術政策が、転換期を迎えている。
その象徴が、司令塔となる総合科学技術会議
(議長・鳩山由紀夫首相)の改革。
昨秋の政権交代以後、会議の運営が大幅に変わり、
新政権全体の改革案を試行する役割も担う。
「事業仕分け」で注目を集めた科学技術予算も、
編成プロセスの大幅改変が進行中。

「予算編成のあり方を変える画期的な話」
総合科学技術会議本会議を、鳩山首相はそう締めくくった。
「画期的」とは、同会議が策定を進める
「科学・技術重要施策アクション・プラン(AP)」のこと。

◆限られていた影響力

政策の中身は、予算の配分で決まる。
次年度の予算は、通常8月に、各省庁が財務省に概算要求を提出。
同省の査定を経て、年末に政府原案が作られ、
年明けの通常国会に提出。
その中で、科学技術予算は、同会議が科学者の視点で
編成に関与するのが大きな特徴。

これまでの自民党政権では、実際の影響力は限られていた。
同会議は従来、1月「科学技術政策上の当面の重要課題」、
6月「資源配分方針」を策定。
どんな事業に予算をつけるかを示すものだが、
いずれも同会議が単独で作り、予算を組む省庁との連携はなし。
秋に、概算要求を事後評価する「優先度判定」を行うが、
要求の各項目をランク付けするだけで、
同会議独自の政策提案は望むべくもなかった。

◆概算要求に先回り

「受け身」のスタンスを逆転し、科学技術予算編成の主導権を
同会議に移す取り組みがAP。
具体的には、各省庁が概算要求を仕込み始める春~初夏、
先回りして「取り組むべき政策」を示す。
「予算を増額したい政策」を名指しし、予算確保を求めたり、
省庁間で重複する政策の排除も行う。

作成には各省庁も参加し、概算要求はAPに沿って作る。
11年度予算のAPは、環境、健康関連の課題解決型研究と
競争的資金制度改革の3点に絞って作成中。

AP新設の背景を、科学技術担当の津村啓介内閣府政務官は、
「(科学者、産業界代表からなる)有識者議員から、
『専門家として科学技術予算に責任を持つ立場なのに、
編成に関与できていない』との不満、問題提起があった」

有識者議員の相澤益男・元東京工大学長は、
「政権交代以降、政務官と有識者議員の情報交換が急増し、
議論を政策として実現する道筋ができた。APはその成果」

◆財務省も協力要請

予算編成への関与の強化につれ、心配されたのは財務省の反応。
1月、同会議は財務省の大串博志政務官と担当主計官を呼び、
初の意見交換を行った。

「各省から要求が出た後にゼロにするのは難しい。
要求の段階から、総合科学技術会議を含む皆で議論したい」、
「重点テーマに、各省が同じような予算要求をする。
順位付けなどに知恵を貸してほしい」
財務省から出たのは、意外にも同会議の協力を求める声。
議員からは、「画期的な情報交換」との声。

APが示した省庁横断、重複排除、トップダウン型の予算編成は、
民主党政権が昨秋打ち出した「予算編成改革」の柱。
元々、省庁横断型で、「各省より一段高い立場」にある同会議は、
改革のモデルケースとして絶好の舞台。
この取り組みの成否は、政権全体の改革の行方を占う。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100302ddm016040133000c.html

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