(読売 2月23日)
教育委員会が、保護者対応力の向上に乗り出した。
電話が鳴ったら、近くの人がすぐ出る。
3鈴以内で出られなかったら、「お待たせしました」の一言を添える。
東京都教委がまとめた、「学校問題解決のための手引」。
7万部を刷り、公立の幼稚園と小中高・養護学校の全教職員に配る。
要望や苦情の聴き方、事務室と職員室の連携など、
保護者との初期対応に重点を置いた。
「相手の声に耳を傾け、その背景にある事情を把握する姿勢が前提」
(都教委)だが、学校だけでの解決が難しい
「解決困難ケース」の対処法も説明。
きっかけは、2008年、都内の全2418の公立学校・幼稚園を
対象に実施した調査。
保護者から、理不尽な要求を繰り返し受けるなどの
解決困難ケースについて、07年度の発生件数を尋ねたところ、
「ある」と回答したのは約1割。
その半分以上が、学校の初期対応が原因でこじれていた。
いじめを受けた児童の保護者から相談を受けた際、
担任が「お宅のお子さんにも問題がある」と話したところ、
ファクスやメールで、執拗な抗議を受け続けた学校も。
全体から見れば、深刻化する事例はわずかだが、
都教委は、「保護者からの不満や苦情には、
貴重な提案や相談も含まれる。
保護者と協力して子どもを育むには、すべての学校現場で、
初期対応力の向上が欠かせない」との姿勢。
08年度、大阪市教委も教職員向けの手引書をつくった。
以前は、保護者対応で迷った学校から、すぐに市教委に
連絡が入ることが多かったが、手引書に対応の流れを図式化し、
関係先の電話番号も載せたところ、市教委への電話は減った。
指導部の岡田和子・総括指導主事は、
「教師が一冊持つことで、現場が主体的になり、
簡単な事例であれば、学校で解決するようになった」
「少々お待ち下さいませ」
壁に背中を向けて並んだスーツ姿の若者たちが、
腰から上半身を15度傾け、軽いおじぎをした。
「恐れ入りますが」、「あいにくでございますが」
相手の心を和ませる「クッション言葉」も飛び交う。
小中学校で担任を務める教職5年以内の若手24人を対象に、
埼玉県と北本市の両教委が企画した研修会。
県内の百貨店で、社員教育を担当する「接遇のプロ」が講師役。
市教委では、「学校は世間の常識と溝があると言われ、
それが原因で保護者との信頼関係を損ねることも。
学校で最初に保護者と接する担任も、初期対応を学ばなければ」
受講した男性教諭(29)は、「保護者からの苦情で、混乱してしまい、
うまく対応できなかったことがある。
信頼なくして出来ない仕事。
まずは、安心を与える言動を日頃から心がけたい」
教師一人一人の意識が、少しずつ変わっている。
◆解決困難ケース
保護者の行為・状態として、長期間にわたり頻繁に
手紙やメールを送りつけたり、一つの要求が通ると
次の要求をしたりするケースのほか、
インターネットやビラなどの媒体による中傷、
国や教育委員会の巻き込み、医学的な治療が優先される
心の問題などがある。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100223-OYT8T00243.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿