2011年2月28日月曜日

評価される先生(6)専門家の活用が有効

(読売 2月17日)

学校評価や教員評価は、学校の改善や教員の能力向上を狙って
始まったが、期待された目的を果たしているのだろうか?
小松郁夫・玉川大学教職大学院教授に聞いた。

――文部科学省が、学校評価の模範的な手法をガイドラインとして公表。

「その実施要件を満たしている学校は、多くない。
評価が不可能な目標を設定したり、アンケート調査の分析が
お粗末だったりと、改善に結びつけることが十分にできていない」

保護者や地域住民らによる『学校関係者評価』も、課題が多い。
委員たちは、学校に有意義な批判ができる『辛口の友人』に
ならないといけないが、中には教育に不慣れな人もいて、
学校をチェックするのが難しい」

――きちんとチェックできるようにするにはどうしたらいいか?

教育の専門家による第三者評価が有効。
費用がかさむのが難点だが、各県教委の指導主事が、
他県の学校を評価しに行くことから始めてはどうか」

――文科省調査によると、教員評価は昨年4月現在、
47都道府県と19政令指定都市のすべてで実施され、
評価結果を昇給や昇任などに反映する自治体は57。
学校現場では、成果主義的な活用に消極的な雰囲気がある。

「職員室の人間関係が悪化することへの不安もある。
納税者である保護者は、一生懸命仕事をした教員に、
高い給料をあげる仕組みを望むのではないか。
教員も、意識を変える必要がある」

――成果を上げた優秀な教員を国や自治体が
表彰する制度が広がっている。

「まだ十分に機能していない。
指導力不足教員の排除ばかりが先行している。
これでは、教員が萎縮する」

――授業評価は、比較的順調に定着している。

教員も保護者も、『授業をよくしたい』という思いは共通。
目的が明確で、日々の活動につなげやすい」

――今後はどうするべきなのか?

いつまでも同じ基準や観点で評価していては、
改善が止まってしまう。
教師のレベルアップに応じて、評価指標も変えていく必要。
学校評価でも同じ。
制度を導入しただけで、満足してはいけない」

◆こまつ・いくお

1947年、秋田県生まれ。
国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長、
文科省「学校評価の推進に関する調査研究協力者会議」
副座長などを歴任。
専門は学校経営学、教育行政学、学校論。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110217-OYT8T00213.htm

0 件のコメント: