2011年3月4日金曜日

インタビュー・環境戦略を語る:イケア・グループ、ステファノ・ブラウン

(毎日 2月21日)

世界26カ国に280店舗を展開し、10年度決算の売上高が
235億ユーロ(約2兆6500億円)に上った家具小売りチェーンの
イケア・グループ(本社・スウェーデン)。

5年前に再進出した日本でも順調に成長し、
来年には福岡県に6店舗目をオープンする予定。
大量生産で低価格化を実現する一方、環境重視の姿勢も示す。
本社小売り部門の環境担当責任者を務める、
ステファノ・ブラウンさんに取り組みを聞いた。

--イケアは毎年、サステナビリティー(持続可能性)の取り組みに
関する報告書を出すなど、環境に力を入れている。

◆我々は、長期経営目標の柱の一つに、
サステナビリティーを位置づけ。
環境への責任を、成長、コスト削減、人材重視と並ぶ
4本柱の一つに据えている。

今後は、ビジネスとの融合を進め、持続可能性を高めるほど、
利益にもつながるような状況にまで進化させたい。

--具体的な取り組みは?

◆我々が、家具の製造などに使う木材の量は、
年間約530万立方メートルに。
うち97%は原産地を把握し、違法伐採されたものが
含まれていないかなどチェックを強化。
製造過程で出た木の切れ端を捨てずに、チップにして圧縮して
固めたうえで、製品に再利用。

「より少ない物から、より多くを生み出す」がイケアの基本哲学、
それによりコストとともに環境負荷も減らすことができる。

--環境負荷を減らす商品の販売にも力を入れている。

◆その代表が、蛍光灯を使った省エネ電球。
60ワットの白熱球と交換すれば、5分の1の消費電力で済む。
イケアが発明した製品ではない。
蛍光灯電球として、2個799円という低価格を実現したことが普及を促した。
これまでに、世界で1億5000万個売れた。

省エネ性能が高いLED(発光ダイオード)電球も、近く発売予定。
日本で今売られている製品より、かなり安く出せる。

--イケアの商品は低価格に加え、デザインも評判。

◆価格やデザインと環境への配慮を両立させることを目指す。
商品の環境負荷を少しずつ改善し、イケアを訪れる
年間6億2000万人のお客さんに選んでもらえれば、
環境への効果は大きい。

--環境を重視するのはなぜか?

◆起業の地であるスウェーデンには自然を愛し、
木や水を大事に使う文化がある。
欧州の消費者は、環境への関心が高く、商品がどこでどんなふうに
作られたのか、厳しく見ている。
多国籍企業として評判を守るためにも、不可欠な取り組み。
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◇Stefano Brown

97年イタリア・ミラノ工科大学卒業。03年イケア・イタリア入社。
07年からイケア・グループ本社で現職。39歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/02/21/20110221ddm008020033000c.html

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