2011年3月3日木曜日

慢性疲労症候群には認知行動療法や運動療法の併用が効果的

(日経 2月24日)

慢性疲労症候群(CFS)患者に対し、標準治療と併行して
認知行動療法(CBT)、段階的運動療法(GET)を行うのが
最も有効であることが、英国の新しい研究で示された。

今回の知見は、「身体的行動や精神的態度を、
追加的に調節することが、慢性疲労症候群CFSの改善につながる」
という議論の対象となっている考えを支持。

CFSの標準的な治療法は、専門家メディカルケア(SMC)と呼ばれ、
疾患に関する情報、症状の管理に関する助言、
さまざまな対処法による支援などの提供を軸とする。

今回の研究では、患者が活動と休養のパターンを
厳格に管理することに焦点を当てた適応ペーシング(調節)療法(APT)と
呼ばれる治療法では、ほとんど利益が認められない。

英ロンドン大学クイーンメアリー校バーツ・アンド・ロンドン
医学部教授のPeter D. White博士らによる今回の研究は、
英医学誌「The Lancet(ランセット)」オンライン版に2月18日掲載。

認知行動療法は、CFSを悪化させる行動の回避を目的とする治療法で、
精神的抑制による悪循環を断ち切ろうとするもの。

段階的運動療法は、徐々に患者の運動レベルを上げて
体力を向上させることにより、疲労および身体障害を軽減させる治療法。

今回の研究では、英国の4カ所のリハビリテーションセンターに通う
CFS患者641人を、4群に割り付け、
全群に標準的な専門家メディカルケア療法を行うとともに、
3群には適応ペーシング療法、認知行動療法、段階的運動療法の
いずれかの療法を併用。

その結果、標準的専門家メディカルケア療法と認知行動療法、
段階的運動療法を併用した群では、疲労レベルおよび身体機能の
両面で、最も大きな改善が認められた。

標準的専門家メディカルケア療法と適応ペーシング療法を併用群では、
標準治療単独群との差は認められなかった。

標準/認知行動療法群、標準/段階的運動療法群では、
患者の60%に疲労感および機能の改善がみられ、
30%が疲労感および機能が「正常レベル」であると報告、
標準治療単独、標準/適応ペーシング療法群で、
正常レベルであると報告したのは半数。

どの治療も安全性は同等であり、重篤な反応はまれ。

米マイアミ大学ミラー医学部慢性疲労センターのNancy Klimas博士は、
「CFSのさまざまな治療法の利点について、現在も議論が続いている」、
White氏らが、「認知行動療法、段階的運動療法は、適度な助けとなるが、
治癒をもたらすものではない」と述べている点に同意。

「CFS患者は、エネルギー量が極めて限られており、
閾値(threshold)を越えると再発するので、
その範囲内で治療に取り組まなくてはならない」

http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm

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