2010年9月14日火曜日

インサイド:ユース五輪 未来への礎/4 トップ派遣、各国で差

(毎日 9月3日)

米国は、ユース五輪(シンガポール)での成績不振に
危機感を抱いている。

従来の五輪では、国・地域別の金メダル数でトップ争いを
演じてきたが、今大会の金メダル数は4個。
トップの中国(30個)に大きく水をあけられ、全体でも12位と低迷。

教育や交流を重視する大会の趣旨に照らせば、
メダルの数を気にする必要はない。
シンガポール最大の英字新聞「ストレーツ・タイムズ」によると、
米国オリンピック委員会の強化担当者は、
「今後はユース五輪の位置づけを高め、プランを修正していく」。

◆米は他大会を優先

真夏に開催された新設大会は、複数の競技で
他の国際大会と日程が重複。
トップ選手の参加が危ぶまれ、
「二流選手のサマーキャンプになるのでは」との見方さえあった。

特に競泳は、ジュニア・パンパシフィック選手権
(米国・ハワイ、8月26~30日)を重視する向きが強かった。
ユース五輪の競泳は8月20日に終了、
選手は26日の閉幕まで選手村への滞在を義務づけられ、
両大会の掛け持ちはできなかった。

米国のトップ選手はジュニア・パンパシを優先、
過去の五輪で金メダルを量産した競泳は、
ユース五輪で金メダル1個と苦戦。

今大会は、競泳の自由形やリレー種目で、計6個の金メダルを
獲得した中国の唐奕(17)、体操女子個人総合で圧勝した
ロシアのビクトリア・コモワ(15)、「次世代のボルト」と呼ばれ、
陸上男子100mを制したジャマイカのオデイン・スキーン(16)ら
才能豊かな選手が数多く出場。

サッカーなど一部競技は、トップ選手が参加しなかった。
IOCジャック・ロゲ会長は、「サッカー選手の派遣方針について、
国際サッカー連盟と協議したい」

◆日本も調整に苦慮

日本水泳連盟も、「(ユース五輪は)手探りの大会で、
選手に参加を強制できない」と判断。

全国高校総体など、国内大会の日程とも重複する事情を踏まえ、
選手の希望を最優先に代表を選んだ。
結果的に、トップ選手の多くは参加しなかったが、
将来を見据えて決断した選手も。

男子200m個人メドレーで8位に入った堤貴大(17)=市川高=は
「インターハイ(全国高校総体)が、僕の最終目標じゃない。
次へのステップになる」と力強く語った。

国内では、女子バレーボールの代表選考も苦労。
5月、アジア予選を勝ち抜いたトップ選手は、
千葉国体の予選出場などのため、誰も今大会に参加しなかった。

日本は、国体予選を免除された千葉県選抜で出場。
大柄な外国選手を相手に健闘したが、結果は4位。
チームに同行した日本バレーボール協会の
成田明彦強化事業本部長は、「一時は選手の派遣辞退も考えた。
選手には貴重な経験になったし、行って良かった」

今大会は17、18歳の選手が出場、成田本部長は、
「高校1年の選手を中心にチームを組めれば、選手を出しやすい」
と、出場年齢の変更を希望。

米国の態度が変化したように、日本オリンピック委員会関係者は、
「今後、さらにトップ選手が集まる大会になる」とみる。

各国の対応が分かれた第1回大会。
ユース五輪の理念である教育、交流を重視しながら
競技レベルをどう保つか?

夏場は、世界のスポーツカレンダーが埋まっている。
大会日程の問題も含め、課題は多い。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100903ddm035050075000c.html

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