2010年9月17日金曜日

学習塾は今(2)低学年から「囲い込み」

(読売 9月4日)

全国一斉に実施された「全国統一小学生テスト」。
主催した中学進学塾「四谷大塚」のお茶の水校舎に、
朝早くから小学生が続々と詰めかけた。
中には、保護者に手を引かれた低学年の児童も。

「さあ、競争だ。」という宣伝コピーで、07年11月に始まった
受験料無料のこのテストは、学力上位者の発掘と受講生集めが目的。
首都圏の直営校19校と提携塾約500校のほか、
全国の500余りの塾が会場提供などで協力。
6回目の今回は、全47都道府県の約2000会場で、
小学2~5年生の計約9万1000人が受験。

四谷大塚を運営する「ナガセ」(武蔵野市)
市村秀二・上級執行役員広報部長(48)は、
「横並びの公教育では、有能な人材は発掘できない。
競争に勝ち抜き、社会に貢献できる未来のリーダーを
育てるのが、塾の役目。
全国統一テストは、それを広くアピールする挑戦でもある」

テストの成績上位者には、夏休みアメリカ名門大学訪問ツアーや
iPadなど様々なごほうびを用意し、将来の夢を見つける手助けをする。
一定以上の成績を上げた者は、入塾テストを免除し、
直営校に通えない場合、映像配信授業を提携塾で受けてもらうなど、
様々な方法で囲い込みを図る。

小学校低学年に力を入れる中学進学塾が、
10年ほど前から大手を中心に目立っている。
受験に備え、学習習慣や学びへの興味を早くから
身につけさせるのが狙いだが、懸念も少なくない。

「公立不安から、子どもの将来を考えると中学受験かと思うが、
親が誘導していいのか迷ってしまう」(小2男子の40歳父親)、
「競争から刺激を受け、能力を伸ばしてほしい。
でも、娘が受験に向いているのかどうか……」(小3女子の37歳母親)。
テスト会場で、塾生以外の父母を対象に開かれた説明会では、
戸惑いを漏らす保護者もいた。

塾・予備校産業に詳しい「大学通信」
安田賢治・情報調査・編集部ゼネラルマネージャー(54)は、
小学校低学年からの囲い込みは、少子化や業界の再編を
背景にした塾の経営戦略。
早期序列化によって、本人の意思に反した進路や
無意味な挫折を招く危険性もある」。

◆メモ

予備校の東進ハイスクールを運営するナガセが2006年、
四谷大塚を買収。
通信教育のベネッセホールディングスも、07年までに、
予備校のお茶の水ゼミナールと、東京個別指導学院を買収。
昨年から今年にかけ、サピックス小学部と同中学部・高校部の
運営会社が、代々木ゼミナールのグループ傘下に入るなど、
業界のM&A(企業の合併・買収)が本格化。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100904-OYT8T00230.htm

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