2010年9月18日土曜日

学習塾は今(3)IT駆使 指導を効率化

(読売 9月8日)

終わったばかりのテストの答案用紙が、
次々にパソコンに取り込まれていく。

中学進学塾「日能研」の十日市場校。
スキャナーを前に、教室スタッフがしていたのは、
06年導入した「DI(デジタルイメージ)学習支援システム」の入力作業。

スキャンした答案用紙の原本は、その場で子どもたちに返され、
テストに向き合った気持ちが残っているうちに、
ふり返りをすることができる。
デジタル化された答案は、採点スタッフに転送され、
早ければテストの翌日に、結果が専用サイトにアップ。

塾生は、自宅のパソコンで、コメント入りの採点結果のほか、
他の塾生の模範解答も見ることができる。

日能研は、中学受験専門塾として全国に拠点を構える唯一の塾で、
教室数は135に上る。
従来にない「DI」の新技術は、日能研が進める教育の独自性を
より鮮明にするためのツール。
「塾生の弱点や解答方法の癖などを詳細に把握でき、
的確な指導をするのに役立っている」(日能研広報部)。

教育理念に掲げるのが、「高等教育へつながる学び」。
高木幹夫代表(56)は、「志望校合格のための支援はもちろん大切だが、
中学進学後にさらに意欲を持って自ら学び続けることのできる、
伸ばす教育が根底にある。
志望校に合格したものの、中学段階で燃え尽きてしまっては
元も子もない」

弁当を2個持参して、塾に通う――。
日能研は、かつては授業時間が長いことで知られていた。
今は、他の中学進学塾と比べてもさほど変わらない。
小学6年生は、3時間半の授業が週に3日から4日、
日曜日に約3時間のテストが加わるが、もっと長い大手塾もある。

「受験勉強は、教室で行うことを基本に、学習指導は全般的に
塾に任せてもらう」と、日能研の広報。
宿題は出さない。
復習用の家庭学習用テキストは渡すが、
自主的に取り組んでもらう程度。
この結果、子どもたちは家で長々と勉強しなくてもいい。

「長い短いで、良しあしをはかれるものではない。
指導方針に沿って全体のシステムを考え、
必要な時間を確保してプログラムを組む。
それを実現するための仕掛けが、IT」と同広報。

ITを使って苦手分野を把握し、適切な教え方を見つけ出す。
受験指導の効率化が、加速度的に進んでいる。

◆メモ

近年、大手塾を中心に、ITを活用した指導が活発化。
インターネットやDVDを使い、自宅で授業を引き出せる
ビデオ・オン・デマンド(VOD)方式の映像授業をはじめ、
ネットを利用したテレビ電話を通じて、離れた教室にいる講師と
やりとりするシステムなども。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100908-OYT8T00376.htm

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