2010年9月18日土曜日

外国人看護師 試験の見直しはまだ不十分

(2010年9月7日 読売新聞)

国と国の約束で受け入れを決めた以上、漢字を読めないことが
障壁となっている現状は、政府の責任で改めなければならない。
引き続き、改善策を探るべきだ。

厚生労働省の検討会が、外国人の受験者でも
試験問題を理解できるよう、看護師の国家試験を見直す指針。

見直しのきっかけは、経済連携協定(EPA)に基づいて、
インドネシアとフィリピンから受け入れた看護師希望者の
試験合格率が、極端に低かったこと。
1年目は1人も合格せず、2年目の合格率もわずか1%。

「漢字の読解能力で不合格、というのはおかしい」という批判が高まり、
厚労省が3月から見直しを進めていた。

新たな指針では、病名には英語を併記し、カルシウムは「Ca」など、
国際的に認定されている略語を記載。

EPAで来日した人たちは、母国で看護師の資格を持っている人たち。
英語や略語の併記は、助けとなる。

指針は、難解な漢字にルビを振ることも容認、
床ずれの意味の「褥瘡」や、あおむけの「仰臥位」など、
医療・看護の専門用語は対象外とした。
平易な表現への言い換えも見送った。

日本看護協会が、重大な医療事故を防ぐには、
日本人スタッフとの意思疎通のため、専門用語の漢字読解能力が
不可欠と主張、検討会もこれに沿った形。

医療上の安全を確保するのは当然だが、日本人でも読めないような
漢字にルビを振ることも、許されないのか。

新指針は、来年2月の試験から適用。
問題は、これに不合格なら、帰国を余儀なくされる人たちが
100人近くいること。

本来なら、見直しが十分かどうか検証してから実施すべき。
再来年も受験可能とするなど、特例措置の検討も必要。

医療や介護の人手不足は依然、深刻。
意欲も能力もある人材を、「漢字の壁」を設けて
締め出すべきではない。

政府は、がん検診などの分野で、外国人患者を日本の病院に
積極的に受け入れていく方針。
英語を話せるフィリピン人看護師などは、
外国人患者とコミュニケーションを図る上で役立つ。

看護師や介護福祉士の受け入れは、ベトナムやタイも求めており、
いずれEPA改定の議論が出てくる。
最初の受け入れでつまずくことのないよう、
政府は受け入れ環境の整備に努めてほしい。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/7/125192/

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