2010年9月20日月曜日

学習塾は今(5)「個別」「大手」かけ持ちも

(読売 9月10日)

個別指導進学塾「トーマス」の高田馬場校。
畳3畳ほどのホワイトボード付き個室で、
塾生の小学6年男子児童(11)が、講師と1対1の授業に臨んでいた。

算数の和差算の問題に取り組む男子児童のペースに合わせ、
講師が質問に答えたり、解説したり。
男子児童は、「疑問があれば丁寧に教えてくれ、
理解してから次に進むので、力がついた」

「苦手な算数を、夏場に集中して指導し、秋から志望校対策に
移れるよう工夫した」と、カリキュラム作りを担う
教務担当の北原義文さん(39)。
首都圏1都3県に64校を展開するトーマスでは、
塾生1人に対し、講師1人の完全個別指導で、
個々の塾生に対応したカリキュラムやオリジナル教材を作成。

個別指導塾の人気が高まっている。
矢野経済研究所によると、学習塾・予備校市場全体が
縮小傾向にある中、個別指導塾は02年度に3000億円台を突破、
08年度、3690億円に。
学習塾・予備校全体(9240億円)の約4割を占める。

トーマスを運営する「リソー教育」の伊東誠専務(47)は、
「大切な時間を無駄にせず、確実に合格を目指す受験生の間で、
集団指導では難しいきめ細かな指導へのニーズが高まっている

男子児童は、小学6年春から、大手進学塾とかけ持ちで
トーマスに通っている。
「小学4年生から学んでいる大手塾では、集団指導に
十分についていけなかったり、宿題が多すぎて負担になったりして、
受験勉強に不安があった」、母親(44)。
塾のかけ持ちに否定的な大手塾には内緒。

塾生の半数は、最初からトーマスだけに通い、
3割は大手塾からの移籍組。
残る2割が、大手進学塾とのかけ持ち。

塾をかけ持ちすると、月謝などの負担が増える。
ある小学6年生の場合、トーマスが月8回(1回1時間半)で6万7000円、
大手塾が月12回(1回約3時間)5万8000円、
合計12万5000円に跳ね上がる。

通塾や授業の時間が長くなるなど、子どもの負担も相当重い。
冒頭で紹介した男子児童は、週に4日は大手塾、
残りの3日はトーマスと、毎日塾に通い、
夏も大手塾の授業がないお盆休みなどにトーマスに通うといった具合。

8月上旬に同校を訪れた際、塾生からあまり疲れは感じられなかった。
リソー教育の桑野臣紀・教務企画局次長(42)は、
個別指導で弱点を克服することで、受験勉強に臨むモチベーションを
高めている」、二つの塾に通う子どもの姿をみる。

過熱する中学受験は、ひとつの進学塾では満足できずに
かけ持ちするという新たな現象を生み出している。

◆個別指導塾

1対1の個人指導のほか、2、3人の少人数指導もある。
トーマスのような専門塾のほか、大手学習塾・予備校が
個別指導部門を併設するケースも増えている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100910-OYT8T00152.htm

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