2010年9月21日火曜日

秋の鼻水、花粉症かも 主体は草花、河原や空き地避けて 秋の花粉症

(2010年9月10日 毎日新聞社)

「お盆過ぎから、少しずつ来院する患者さんが出始めた」
西端耳鼻咽喉科を開業する西端慎一医師。
スギ花粉が猛威をふるう春に比べ、人数は10分の1以下だが、
秋も、「くしゃみや鼻水が止まらない」症状を訴える患者が増える時期。
一部は、ブタクサやヨモギ(いずれもキク科)などの花粉による
「秋の花粉症」だ。

花粉症は、アレルギー性疾患の一種で、異物を排除しようとする
人体の免疫システムが過剰に反応するために起こる。
体内に異物が入ると、それに対応した抗体ができる。
再び同じ異物が侵入すると、抗体が反応し、ヒスタミンなどの
刺激物質が作られ、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを引き起こす。

全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした大規模な調査によると、
08年の花粉症の有症率は29・8%、
10年前に比べると約10ポイント増。
山梨県や高知県では40%を超え、「現代の国民病」とも呼ばれる。

原因植物として、春のスギが有名だが、NPO法人「花粉情報協会」の
佐橋紀男・東邦大理学部訪問教授(植物分類形態学)によると、
日本で最初に報告された花粉症はブタクサによるもので、
宅地開発が相次いだ60年代には関東地方で大きな問題に。

ブタクサやヨモギのほか、イネ科のススキやメヒシバ、
キク科のセイタカアキノキリンソウ(セイタカアワダチソウ)、
アサ科のカナムグラなどが、秋の花粉症の原因。

佐橋さんは、「これらの草は、今夏の猛暑や日照りでかなり枯れ、
今年の秋は花粉が少ない可能性はあるが、注意は必要」

秋の花粉症は、気温が下がり出す季節の変わり目に起こるだけに、
風邪と間違われやすい。
西端さんは、「風邪の場合、2~3日すると色の付いた
粘り気のある鼻水に変わる。
水っぽい透明な鼻水が5日以上続いたり、目のかゆみを伴う場合は、
花粉症を疑った方がよい」

西端耳鼻咽喉科のスギ花粉症患者約400人を調べたところ、
1~2割程度はカモガヤ(イネ科)やブタクサなど、
夏から秋にかけて花粉を飛ばす植物の花粉にも
反応する抗体を持っていた。

やっかいな花粉症だが、最大の予防法は原因物質に近寄らないこと。
高い樹木で、遠方にまで花粉をまき散らすスギと異なり、
秋の花粉症を引き起こすのは、ブタクサやヨモギなどの草花が主。

「花の咲く位置が低く、よほどの強風でなければ、遠くまでは飛ばない。
症状のある人は、河原や空き地など、雑草の多い場所に行かないこと」。
マスクやメガネで、花粉の侵入を防ぐのも効果的。
東京都は春だけでなく、夏から秋にかけても
花粉の飛散状況を調査し、ウェブサイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/kafun)に掲載。

治療は、基本的にスギ花粉症と同じで、悪さをするヒスタミンを抑える
抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤)を服用したり、
炎症を抑えるステロイド薬を鼻の穴に噴霧するといった
薬物治療が一般的。

西端さんは、「最近は、眠くならない抗ヒスタミン剤もある。
種類も多く、体質によって効き目や副作用の表れ方が違うので、
医師と相談して自分に合う薬を見つけることが大切」

レーザーで鼻の粘膜を焼いて、アレルギー反応を起こす
場所自体をなくす治療もある。
花粉が飛散する時期の前に実施しておけば、
シーズン中は薬を飲まなくても済むが、完治するわけではなく、
2年ほどで効果が薄れる。
何度もレーザー治療を受けた場合の安全性は、
まだ分かっていないことも多い。

アレルギーの原因物質(アレルゲン)を薄めて少しずつ注射し、
徐々に体を慣らして体質を変え、アレルギー反応を起こさせなくする
「減感作療法」は、今のところ唯一完治する可能性のある治療法。

花粉症患者の約3割にはこの治療法が効かず、
治療用のアレルゲンはスギやブタクサなど
種類が限られているなどの課題も。

西端さんは、「いずれの治療を選ぶにせよ、
アレルゲンを特定することが重要。
ハウスダストが原因なら、窓を開けて換気をよくすることが必要、
もし花粉症なら逆効果になる」

耳鼻科などでは、4000~5000円の自己負担による血液検査で、
アレルゲンを調べることができる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/10/125412/

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