2010年9月19日日曜日

高めが長生き、コレステロール下げなくていい?

(2010年9月8日 読売新聞)

日本脂質栄養学会が、
「コレステロール値は、高めの方が長生きで良い」とする
指針をまとめた。
これまでの常識を覆す内容だが、
コレステロールは下げなくてもいいの?

コレステロールには、LDLとHDLがある。
全身の組織に運ばれるコレステロールがLDL、
全身から回収される余分なコレステロールがHDLで、
それぞれ「悪玉」、「善玉」と呼ばれる。

生活習慣病の専門家が集まる日本動脈硬化学会は、
LDLが高すぎると、心臓病の要因になるため、
食生活の改善や薬の服用により下げるべきだ。

同学会は2007年、高脂血症(脂質異常症)と診断される
コレステロールの基準値を、男女ともLDL140(mg/dl)以上、
またはHDL40(同)未満と定めた。

基準値作りにかかわった滋賀医大の上島弘嗣・名誉教授は、
「これまで国内外の研究から、LDLが高くなるにつれ、
動脈硬化が進み、心臓病の発症率が上がることが分かっている。
心臓病を起こしやすくなるLDL140以上を、妥当と判断」

日本脂質栄養学会の指針をまとめた
富山大学和漢医薬学総合研究所の浜崎智仁教授は、
「心臓病だけでなく、がんや肺炎などすべての死亡原因を含めると、
現在の基準値の140より高い方が、死亡者が少ない」と反論。

指針では、新たな基準値を示していないが、
その根拠となる研究報告を複数紹介。

伊勢原市の男女約2万6000人を、8年間追跡した研究では、
男性はLDL100~160で死亡率が低く、100未満で上昇。
女性は、LDLによる影響は少なかったが、
120未満で死亡率が上昇。

全国の脳卒中患者1万6850人を調べた別の調査では、
高脂血症の人の方が、脳卒中による死亡率が低く、症状も軽かった。

浜崎教授は、「コレステロールは、細胞の膜やホルモンを作る
大事な成分。食事や薬で、むやみに数値を下げるのはよくない」

LDLの数値には、男女差もある。
佐賀県武雄市の田中裕幸・ニコークリニック院長(循環器科)は、
「女性は、閉経するとコレステロールが急激に上がるが、
動脈硬化の進行や心臓病の発症には影響しない。
少なくとも女性にコレステロールの基準値は必要ない」と主張。

今回の指針をきっかけに、男女の差や個人の病気のリスクに
合わせた治療が広がってほしい。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/8/125234/

0 件のコメント: