2010年9月22日水曜日

学習塾は今(7)「熱血」長時間みっちり

(読売 9月15日)

「過酷な受験勉強を乗り越えた者だけが、
灘中合格を勝ち取るんや。絶対にあきらめたらあかんぞ」

中学進学塾「希学園」十三本部教室(大阪市)で行われた
「プレ灘中入試」。
試験終了後の集会で、「克己」と記された鉢巻きを巻いた講師らが
大きな声で檄を飛ばすと、塾生たちの表情に闘志がみなぎってきた。

関西を中心に、14教室を展開する希学園は、
関西の私立の名門・灘中学をはじめ、難関校に高い合格実績を誇る。
プレ灘中入試は、小学6年生を対象に、毎年3回実施。
緊張する入試で全力を出し切るための重要な訓練と位置づけ、
時間割も問題形式も本番と同じ。
「合格」発表も行われる。

「日ごろの受験勉強はもちろん、試験当日まで、長く深い付き合いの中で
叱咤激励しながら、塾生たちの成長を見届けている」、
灘中コース統括責任者の鳥居輝良講師(39)。

指導の最大の特徴は、自習時間をカリキュラムに組み入れ、
家庭学習にあたる時間を塾で設けている点。
このため、拘束時間が長く、小学6年生の場合、多くは週6日通い、
平日は午後5時過ぎから4~5時間(うち自習1~2時間)、
日曜日は午前9時から約11時間(同約5時間)を塾で過ごしている。

黒田耕平学園長(35)は、「中学受験は、子どもにとって
プレッシャーが大きいが、自ら学ぶ自主性や精神面のケアも含めて、
家庭学習よりも塾で面倒を見るほうが効率的」と狙い。

スローガンは「克己」。
自身の欲望や怠け心に打ち勝ち、入試で力を発揮するためにも、
塾での長時間学習は欠かせない。

「塾で勉強するほうが集中できるし、自習時間も先生が
質問に対応してくれるので、受験に向けて自信がついた。
仲間と刺激し合えるのもいい」、
プレ灘中入試で「合格」した井上怜音君(12)。
母親(42)も、「塾にいる時間があまりに長くて最初は心配したが、
息子がどんどん学力を伸ばしていく姿を目の当たりにして、
希学園に任せてよかったと思う」

希学園は、04年に東京に進出。
09年までに、横浜を含めて3教室に増やした。
関西で中学受験者数の減少傾向が顕著な中、塾関係者には、
希学園の首都圏進出を新たな需要開拓と見る向きもあるが、
黒田学園長は、「首都圏でも、『希流』熱血指導へのニーズは高く、
手ごたえを感じている」と力を込めている。

◆メモ

日能研関西進学情報室によると、近畿2府4県の統一入試日の
中学受験者数を、小学6年生の人数で割った受験率
(国立、公立中高一貫校を除く)は、04年をピークに横ばい状態、
08年から減少、今年は9.52%(前年比0.58ポイント減)。
背景には、不況のほか、一部の私立中が付属小学校の開校で、
募集定員を減らしたことなどがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100915-OYT8T00174.htm

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