2010年9月22日水曜日

ハンドブック がんと働くコツ 経験者らがまとめる

(2010年9月10日 毎日新聞社)

「会社には、自分ができること、できないことを明確に伝えよう」--。
がん経験者が、職場で働き続けるコツをまとめたハンドブック
「がんと一緒に働こう!」(発行・合同出版)が出版。

がん患者の就労は、患者の3割が失職に追い込まれるほど深刻。
がん経験者ら32人が筆者となり、
同僚とのコミュニケーション方法などを紹介。

本をまとめたのは、がん経験者らのグループ
「CSR(キャンサー・サバイバーズ・リクルーティング)プロジェクト」。

グループ代表の桜井なおみさん(43)は、会社員だった04年、
乳がんを発症。
いったん復職したが、手術の後遺症や居づらさを感じ始めて、
06年に転職を余儀なくされた。

東京大学医療政策人材養成講座に参加し、
がん患者の就労状況を調査したところ、
仕事継続を願うがん経験者の3割が失職している実態が判明。
患者仲間らとCSRプロジェクトを結成し、解決策を探り始めた。
今回のハンドブックもその一環。

執筆者32人の大半はがん経験者で、企業の人事担当や
社会保険労務士もいる。
働く権利、治療で利用できる休職制度、解雇時の相談先なども盛り込み、
解決の具体策をイラスト入りでまとめた。
同僚にどこまで告げるか、本では「最初から話しておいた方が互いのため。
秘密は、自分を不自由にする」と勧めている。

桜井さんは、各地のがん啓発セミナーで、本を紹介する日々。
神戸市であったセミナーでは、医療関係者から意見も聞かれた。
ある女性看護師は、「医師や看護師は、患者が退院後にどうなるのか、
情報を持っていないし、そういう教育も受けていない

桜井さんは、「仕事に復帰しようにも、受け皿がないのが現実。
患者だけでなく、医療や企業の人にも読んでもらい、実態を知ってほしい」

◇診断後失職3割

桜井さんが参加した東大医療政策人材養成講座実施の
「がん患者の就労・雇用実態調査」では、
治療中や治療経験のあるがん患者403人から回答。
その結果、がん体験者の76%が「がんと診断された時、
それまでの仕事を続けたいと思った」と回答。
31%にあたる95人が、診断後に解雇や退職で失職。

内訳は、解雇14人、依願退職23人、廃業8人など。
仕事を継続するうえで、がんが大きな障害になっている実態が浮き彫り。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/10/125436/

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