2010年10月30日土曜日

発達障害の学生支援(6)親と面談 理解を促す

(読売 10月21日)

「友だちとのかかわりを通して、成長した息子を見ると、
大学進学はむだではなかったと感じている」
大手前大学(西宮市)の健康相談室。
現代社会学部3年、椎名篤さん(20)(仮名)に優しい視線を向けながら、
椎名さんの母親(51)が、きっぱりと言いきった。

椎名さんの母親が、椎名さんの発達障害を大学に伝えたのは、
指定校推薦入試に合格し、入学が迫った1月。
「学習障害のある息子が社会に出る前、
大学で多くの人と交わってほしかった」

相談を受けた大学側は、椎名さんが入学後、入部を希望した
運動系サークルの部員に、「話を理解するまで、
ちょっと時間がかかるけれども、受け入れてほしい」と
働きかけるなどして協力を要請。
キャンパスに、椎名さんの居場所を作り、学生生活を支援。

学習面では、発達障害の早期支援のため、学習支援センターを開設。
スクールカウンセラーを常駐させ、履修登録や授業の課題でつまずく
学生のフォローを始めた。

「お菓子を食べる会など、学内で人間関係を築ける場も提供」、
学生課の安井敏裕課長(52)。

これらの支援を受け、サークルやゼミでは友達ができ、
学習面でも大きな成長を見せている椎名さん。
「課題が難しかったり、リポートが書けなかったりして
落ち込んでしまっていたが、最近はひとりで心を落ち着かせて
解決できるようになった」と笑顔。

同大は2年前から、学生に発達障害が疑われる場合、
積極的に親との面談を持つようにしている。
親が子どもの発達障害を受け入れなかったり、理解できなかったり
することで、苦しむ学生が目につくようになったから。
入学させた以上、大学側はきっちり4年間で卒業させ、
就職まで面倒を見て当たり前、と考える保護者もいる。

「発達障害を申告してくれれば、教員に授業時の配慮を依頼するなど、
スムーズに支援体制を取れる。
保護者が、我が子の障害を受け入れず、
4年間での卒業にこだわり過ぎれば、ゆっくり成長していく
発達障害学生の可能性を狭めてしまうかもしれない」と安井課長。

効果的な支援には、学生のありのままの姿を受け入れることが欠かせない。
大学と保護者が手を携えることから始めなければならない。

◆学習障害

基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力の習得と使用に
著しい困難を示す状態。
LD(Learning Disabilities)とも言われる。
特に、読み書きが困難な場合、ディスレクシア(読み書き障害)と呼ぶ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101021-OYT8T00188.htm

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