2010年10月25日月曜日

インタビュー・環境戦略を語る:トステム・大竹俊夫社長

(毎日 10月18日)

アルミサッシや建材、住宅設備機器製造大手のトステムは、
2015年までに冷暖房エネルギーを、90年比で新築住宅で50%、
既存住宅で25%削減する製品の創出、普及を目標。
大竹俊夫社長に、同社の環境戦略を聞いた。

--環境対策にどのように取り組むか?

◆産業界ではここ数年、CO2排出量削減が進んだが、
家庭での排出量は、家電の普及により90年比で約35%増。
「照明・家電」、「車」、「冷暖房」が排出量トップ3。

住宅の断熱性能を上げ、少ないエネルギーで生活できる家を
つくるのが、我々の仕事。
熱が外に逃げている窓の性能を上げることが手っ取り早いので、
内窓「インプラス」、高断熱サッシ・玄関、太陽光発電パネルの
普及促進に努めている。

--「うれしいエコ」を企業コンセプトに掲げている。

◆寒い時も空調を使わず、自動車にも乗らないような
「苦しいエコ」では、長続きしない。
25%削減という政府の数値目標だけでは、将来にもつながっていかない。

太陽光発電で売電し、請求書が来るのではなく、請求書を出す家にする。
電気ではなく、バイオ燃料が使えるような暖炉をいれ、
家族のだんらんが生まれるようなイメージ。
格好良く、楽しくCO2が減らせる生活を提案できたら、素晴らしい。

--新築だけでなく、既存の住宅向けにも対策が必要。
どう普及を図るか?

◆既存の住宅向けには、住宅版エコポイント効果で、
内窓「インプラス」が好調。
売上高は、前年比5倍の年100億円に。
断熱材を入れるには時間も費用もかかるが、インプラスは
数時間で取り付けられ、暖房費が95%減った例。

9月、「パシフィコ横浜」で初めてイベントを開き、
2日間で1万3000人に来場。
大半が家族連れで、商品展示だけでなく、どうやったら家に
風や光が通るのかを実験してみせたり、窓断熱に取り組むヒーロー
「インプラスマン」のアニメを作って、3Dシアターで上映。
子どもたちにも、環境について考えてもらえた。

--今後取り組むべき課題は?

◆アルミサッシで国内トップ、アルミにこだわってはいない。
材料を、国内産の木材に代えられないか。
見た目の温かみもあり、何より環境にいい。
日本の森林資源は、持続可能性のある材料でありながら、
コストの面からうまく活用できていない。
少し時間がかかるが、活用できれば技術力を世界にアピールできるし、
地域産業の掘り起こしにもつながる。
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◇おおたけ・としお

69年東京理科大工卒。同年、東洋サッシ(現トステム)入社。
取締役、リビング建材事業部長、建材商品事業本部長などを経て、
10年4月から現職。東京都出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/10/18/20101018ddm008020039000c.html

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