2010年10月30日土曜日

インサイド:広州アジア大会1カ月前 巨大祭典の底流/4

(毎日 10月16日)

広州汽車集団、中国移動通信、王老吉--。
広州アジア大会のスポンサーには、中国企業が並ぶ。
広汽集団は自動車、中国移動通信は携帯電話、
王老吉は飲料分野における今大会の協賛社。

最も高額のスポンサー料を支払う「プレステージ・パートナー」には、
これら7社が選ばれたが、海外企業は韓国のサムスン電子だけ。
その下の四つのカテゴリーに入る42社でも、
中国以外の企業は、台湾ビールやマクドナルドなど数えるほどで、
今大会のスポンサーは、中国企業がほぼ独占している状態。

◆地元志向に逆戻り

大会の主催者であるアジア・オリンピック評議会(OCA)は、
98年のバンコク大会から五輪方式のスポンサー制度を採用、
積極的な商業化路線にかじを切った。

IOCは、多国籍企業を相手に、1業種1社の公式スポンサー制度を
導入して成功を収めた。
OCAも、アジア大会にグローバルビジネスを取り入れ、
前回のドーハ大会はサムスンのほか、日本の大塚製薬など
各国企業が名を連ねた。

今回のスポンサーを見ると、再び地元志向に戻ったような感。
この状況について、大会のマーケティング権を持つ
電通の高橋惣一・国際スポーツ業務部長は、
「前回までと、マーケティングに対する考え方は変わっていない。
今回は、地元の組織委員会に任せていたところ、資金力があり、
海外展開を狙う中国企業が集まった」

高橋部長によると、アジア大会の魅力は大きく2点。
一つは、五輪とは異なって、会場に看板広告を出せること。
これが、テレビなどを通じてアジア各地に流れ、宣伝効果が上がる。
もう一つは、参加するほとんどの国が、何らかの競技で
メダル争いができること。
前回のドーハ大会では、参加した45カ国・地域のうち、
38カ国・地域がメダルを獲得。

高橋部長は、「五輪競技でないスポーツも実施されるため、
かなりの国がメダルを取る可能性を持つ。
日本では、あまりメディアで取り上げられない競技でも、
ほかの国ではアピールができる構図になっている」

◆広島大会の5倍規模

スポーツマーケティングの世界では、五輪、サッカーW杯、
自動車のF1レースが3大イベントと呼ばれる。
電通は、アジア大会をそれに次ぐクラスと位置づけ。
今後は、アジア市場を狙う欧米の企業にも、
アジア大会の協賛セールスをかける方針。

高橋部長は、「アジアマネーの中心はかつて日本だったが、
韓国、中国が入り、今では中東や東南アジアなどいろんな国に広がった。
それらの企業が競争して白熱している」

広州アジア大会の協賛金は、昨年の段階で20億元(約240億円)を突破。
これは、94年の広島大会の5倍近い規模。

景気低迷の中、日本企業は元気がないが、オイルマネーをバックに、
スポーツへの投資に積極的な中東湾岸諸国や、
10月に英連邦大会を初開催したインドなど、
経済活動が活発な地域はまだある。

今大会は、地元の中国企業が席巻した形だが、アジアスポーツをめぐる
ビジネス市場は、今後も肥大化の道を進むのだろうか。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101016ddm035050097000c.html

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