2010年10月24日日曜日

広がる色のバリアフリー 受付パネル、リモコン... カラー化から色弱者守る

(2010年10月13日 共同通信社)

一般の人とは色の見え方が異なる色弱者に配慮し、色の使い方などを
工夫する「色覚バリアフリー」が徐々に広がっている。

鮮やかな色合いで、直感的にメッセージが伝えられる
カラー化の波が押し寄せる中、公共施設や交通機関、日常生活で
触れるさまざまな製品で取り組みが始まっている。

月曜日の早朝。
いつものように会社に出勤すると、職場は閑散として同僚が誰一人いない-。

色弱者である団体役員、谷一郎さん(54)=仮名=は、
コンピューター開発会社に勤めていた数年前、度々こんな経験。
「まさかと思い、壁のカレンダーを確認したが、確かに祝日ではない。
でも、実際は休みだった」

谷さんの色弱のタイプは、鮮やかな紅色が黒ずんで見えるP型強度。
カレンダーで、休日を表す赤色の数字が、
平日と同じ黒に見えたため、識別ができなかった。

こうした色弱者は、男性の20人に1人、女性では500人に1人の
割合でいるといわれ、国内全体では300万人超。

金融機関などの窓口で、受付の番号を知らせる電光パネル。
定番だった赤色発光ダイオード(LED)の数字が、白色に。

先鞭をつけたのは、金融機関の自動窓口受付システムで
5割のシェアを持つビルコン(川崎市)。

5年前、郵便局から寄せられた苦情をきっかけに、業界で初めて
色弱者でも識別可能な、白色数字を取り入れた。

開発を担当した同社の太田隆司さんは、
「当時、主流になってきたLEDは特許紛争中で、
赤から白に替えるには10倍のコストがかかると分かり、難航した」
液晶を代用することで、費用面の問題をクリア。
3年前に導入が始まった白い数字のパネルは現在、業界の主流。

色弱者の立場に立った製品に、お墨付きを与えるのが、
NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」。

デジカメの充電ランプやテレビのリモコン、カーナビや地球儀などの
日常品をはじめ、空港や高速道路の電光掲示、
地下鉄の路線図にも早くから導入、
現在、約270の企業・団体が認証を取得。

カジュアル衣料品店「ユニクロ」では、販売する全商品約600点の
値札に、「dark gray」などと色名を表示。

品ぞろえが豊富で、色も分かるので、おしゃれをしたい色弱者には
欠かせないアイテム。
ユニクロでは、「表示は、商品を管理するための工夫。
結果的に役立っているのはありがたい」

同機構の伊賀公一副理事長は、「使いやすさを追求した製品が、
色弱者には逆効果になる場合も。
色の組み合わせや文字情報など、少しの工夫でデザイン性を
損なわずに、認証が取れることを知ってほしい」と訴えている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/13/126845/

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