2010年10月29日金曜日

インサイド:広州アジア大会1カ月前 巨大祭典の底流/3

(毎日 10月15日)

大会まで1カ月となった12日、北京で聖火リレーがスタート。
聖火は、空路で開催地の広州に一度入り、
黒竜江省、吉林省などを回り、広州に戻る。
開催年にちなんで、2010人がリレーする予定。

スタートの式典には、中国の胡錦濤国家主席や、
アジア・オリンピック評議会(OCA)のアハマド会長(クウェート)らが出席。
アハマド会長は、「中国では90年に北京で、今回は広州で
アジア大会が開かれる。
この20年間で、アジア大会は著しい発展を見せ、IOCからも
最も活発な地域だと認められるようになったことを誇りに思う
」と胸を張った。

◆郊外に新しい町出現

広東省の省都でもある広州は、戸籍を置かない流入人口を含めると、
人口は1000万人を超える。
香港や東南アジアに近い地理的条件から経済的に発展し、
北京、上海に次ぐ中国第3の都市。
大会が近づくにつれ、街路や公園などには植物が植えられ、
別名の「花城」を思わせるように、花で選手たちをもてなそうとしている。

今回のアジア大会は、中国国内での広州の威信をかけた
イベントといわれている。
北京では2年前に五輪があり、上海では今年5月から
国際博覧会が開かれている。
在広州日本総領事館の小松道彦首席領事は、
「広州は、アジア大会を今年の最重要行事と考え、
ものすごく力が入っている。
省エネや環境面を訴え、北京五輪とは違う大会を開こうとしている」

広州の中心部から南東に約20km離れた郊外に、新しい町が出現。
「亜運城(アジア大会タウン)」と呼ばれる施設群。
約264万平方メートルの広大な敷地に、体操などが開かれる
総合体育館や選手村、メディアセンターなどが整備、
アジア大会の一大拠点になる。

日本オリンピック委員会理事で、OCAの理事も務める荒木田裕子さんは、
「(オイルマネーに支えられた前回の)ドーハ大会の時もすごいと思ったけど、
今度の広州はもっとすごかった」と驚きを隠さない。

◆地下鉄整備に8400億円

広州は、アジア大会を社会資本整備の好機ととらえ、
8年前までわずか1路線18kmだった地下鉄を、
開幕までに8路線約230kmに延伸。
大会の会場のほとんどが地下鉄で結ばれるようになり、
地下鉄だけの総事業費でも700億元(約8400億円)。

大会終了後、亜運城一帯は人口10万人を超す
巨大ニュータウンに変身させる計画。

中心部にも、高さ600mのタワーがそびえ立ち、
高級ホテルが相次いで進出。
市内では、「アジア大会」ではなく、「アジアの五輪を開く」という触れ込み。
首都以外での開催は、94年広島、02年釜山に続いて3度目になるが、
「中国でなければできない」という声が上がるほどの
巨大プロジェクトが展開。

経済誌「フォーブス」が発表した、今年の中国商業都市ランキングで、
広州は上海を抜いてトップ。
世界的な景気低迷の中にあっても、広州は昨年の経済成長率が11・5%、
今年の上半期は13・6%にも達した。
数字を押し上げたのが、アジア大会の開催。
拡大を続ける中国経済。
その「バブル」は、広州にも確実に反映されているようだ。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101015ddm035050060000c.html

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