2010年10月28日木曜日

インサイド:広州アジア大会1カ月前 巨大祭典の底流/2

(毎日 10月14日)

東京都内のホテルで、アジア大会に出場する
ダンススポーツの日本代表選手団の壮行会。

中央にダンス用のフロアが張られ、周りを観客のテーブルが取り囲む。
代表選手が演技を披露し、観客と一緒に踊るアトラクションも。
JOC幹部も招かれた中、斉藤斗志二・日本ダンススポーツ連盟会長は、
「正式競技となったアジア大会に、初めて日本チームが挑戦する。
最強の6組を送り込むので、たくさんのメダルを取ってほしい」と気勢を上げた。

今大会で、新競技として採用されたのが、ダンススポーツ、近代五種、
クリケット、ローラースポーツ、ドラゴンボートの5競技。
チェス競技の一つに位置付けられた囲碁や7人制女子ラグビーなども
新種目として加わる。

前回のドーハ大会は39競技。
同大会終了時、アジア・オリンピック評議会(OCA)は、
35競技程度に縮小する方針を見せたが、広州や新加入を目指す
競技団体の意向を反映させ、逆に3競技が増える形。

◆史上最多の42競技

51年、第1回ニューデリー大会は6競技。
実施競技は増加の一途をたどり、再びニューデリーでの開催となった
82年の第9回大会で20競技を超え、
その後に武術太極拳やカバディといった民族競技も加わった。

今大会は、史上最多の42競技が行われ、
28競技の08年北京五輪を凌駕する巨大イベント。

当然のように、肥大化には問題も出てきた。
開催地の負担は大きくなり、「資金力、運営面でも、
開催できる都市が限られてくる」(JOC幹部)という危機感。

広州に決まった10年大会には当初、マレーシア、韓国、ヨルダンも
招致に名乗りを上げたが、OCA総会前にいずれも立候補を断念。
広州の招致活動がリードしていた面も大きいが、
短期間では資金や施設面で準備が整わなくなってきたことも指摘。

派遣する側の負担も大きい。
JOCによると、選手の派遣費用は、02年の釜山大会が2億6200万円、
長距離の移動費用がかさんだ06年ドーハ大会が5億3000万円。
1000人以上を派遣する今回も、約3億8000万円の予算を計上。
同じ中国で開催された北京五輪は、570人余りの派遣で2億4500万円。
JOCの平真事務局次長は、「普及や強化のために、
派遣しなければならない」と話すが、その規模は五輪を上回る。

◆抑制の動きに異論も

OCAには、膨張するアジアスポーツを整理しようという動き。
05年アジア室内大会、08年アジアビーチ大会、
09年格闘技を集めたアジアマーシャルアーツ大会の
三つの総合大会を始めた。

夏季、冬季のアジア大会に、これらの大会を加え、
実施競技を分散する方針。
14年、韓国・仁川で開催する次回アジア大会は、
五輪実施競技の28に、アジア特有の競技を最大7とする
計35競技程度に絞ることが検討。

ダンススポーツで、今回の選手団長を務める
仲野巽・日本ダンススポーツ連盟専務理事は、
「五輪に次いで注目されるアジア大会に出場する意義は大きい。
メダルを取って、あわよくばスター選手が出てくれば、
若い人たちにもダンススポーツが広がってくる」と訴える。

肥大化抑制を目指すOCAと、普及のきっかけにしたい競技団体。
広州では、それぞれの思惑が交錯する。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101014ddm035050152000c.html

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