2010年10月26日火曜日

スポーツ政策を考える:榊原孝彦・NPO法人ソシオ成岩スポーツクラブ

(毎日 10月16日)

スポーツをしたいと思った子どもが、自転車で通える場所にあり、
いつでも使えるというクラブが理想。
文部科学省が、総合型地域スポーツクラブの全国的な展開を
目指すなら、ある程度の定型を示した方がいいのでは。

スポーツをしたい人が集まり、参加者が運営する従来のクラブと、
総合型地域スポーツクラブは違う。
我々は、スポーツをする人、クラブ運営を担う人、運営を支える側の
3者が分かれていると考え、機能させている。
運営は我々が担い、会員が競技を楽しみ、
主に行政や企業が評価しながら支えてもらう。

行政が支えるのは、単に体育館などを建てることではない。
博物館に学芸員、図書館に司書がいるように、
スポーツクラブには専門員が必要。
そこに行けば、年齢にかかわらず、何も知らなくても、
興味のあるスポーツができるようにすることが、
「スポーツ立国戦略」にある、社会全体でスポーツを支える
基盤整備につながる。

愛知県半田市成岩地区で、総合型地域スポーツクラブとして
活動を始め、15年。
サッカー、野球など12種目のスポーツスクールを開く。

今春の東京六大学野球で、無安打無得点を達成した
慶大の竹内大助投手(2年)は出身者で、子どもたちの励みに。

個人会員もいるが、地域で子どもたちを育てるという趣旨から、
主に家族で会員になってもらっている。
会員数は、住民の約13%にあたる2700人超。
昨年の会費収入は約2000万円。

7年前の成岩中体育館新築時、半田市が学校だけでなく、
社会体育の施設として整備し、クラブハウスができた。
体育館のほか、屋上には人工芝のコートもある。

官民一体の運営が成り立つそもそもの始まりは、
90年代から段階的にスタートした学校週5日制がきっかけ。
週末に時間の空白ができる子どもたちの、地域の受け皿として
総合型地域スポーツクラブに着目。

当時、成岩中の生徒指導担当だった私は、
地域の青少年健全委員会にあたる「少年をまもる会」の
事務局を担当、町内会やPTAと繰り返し話し合い、
学校と地域が一体となってスポーツに親しむ環境を作る
「成岩スポーツタウン構想」をまとめた。

96年クラブ発足時、成岩中では当時の校長が、
週末の部活動停止を決断。
保護者から「やってほしい」という声もあったが、
この構想と連動させることで、理解を得ることができた。

地域で活動する際、中心となるのは学校。
部活動は、全国で盛んに行われている。
週末は、地域でスポーツをする仕組みを作ってもいい。
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◇さかきばら・たかひこ

1959年生まれ。早大大学院修了。
中学校教員を経て、ソシオ成岩のマネージングディレクター(運営責任者)。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/10/16/20101016dde035070029000c.html

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