2011年1月5日水曜日

「後期高齢者医療広域連合」、市町村と連携

(2010年12月28日 読売新聞)

75歳以上のお年寄りを対象とした健康対策や保健事業で、
「後期高齢者医療広域連合」が、市町村と連携する取り組みが
広がっている。

滋賀県では、肺炎球菌ワクチンの接種代の一部を助成したり、
お薬手帳を活用したりするモデル事業を進めている。

滋賀県竜王町の中村粂弘さん(78)は今年8月、肺炎予防のため、
肺炎球菌ワクチンを接種。
接種代8000円のうち、本人負担は3000円。
県後期高齢者医療広域連合の財源を活用して、町が助成。
「ワクチンの効果は5年と聞いたが、自分の健康のため」

県広域連合では、加入者の健康対策に、2009年度から
肺炎球菌ワクチンの助成を4市町で始めた。
今年度、肺炎にかかりやすい人にも拡大。
接種を受けた人の医療費がどう変化するか、
同意を得て追跡調査も行っている。

この助成制度は、竜王町内の医療機関でも好評。
竜王町国保診療所の野洌義則医師は、
「基礎疾患のある患者らに勧めやすくなりました」

にしぶち医院の西淵繁夫院長も、「ワクチンを打った高齢者は、
病気になっても入院の心配が減り、インフルエンザが流行しても
安心して診療できます」

広域連合では、県の医師会や薬剤師会とも話し合って、
地域の医療機関で共有できる独自のお薬手帳も作っている。
処方箋をそのまま貼れるように、サイズはA5判。
予防接種歴の欄には、肺炎球菌の接種日を記録できる。

竜王町のファースト薬局では、9月以降約700人の患者に、
このお薬手帳を配布。
薬剤師の瀧川政邦さんは、「老人保健手帳を利用する人もいるが、
1冊のお薬手帳にまとめてほしいとお願いしています。
薬をただ渡すだけでなく、かかりつけ薬局として
健康管理の一翼を担いたい」と積極的。

滋賀県内では、広域連合の働きかけで、高島市でも同じような
モデル事業に取り組むほか、米原市では人工透析にならずに
済むような体制作りを検討。
こうした保健事業の方法や医療費の分析などを、
京都大医学部と連携して進めている。

県内の医療機関で勤務経験があり、医療関係者とのつながりも多い
京大の里村一成准教授(公衆衛生)は、
「お薬手帳なら、患者にも見える形でどんな情報を共有し合えばいいかを
示せるうえ、データを電子化する際にも参考にできる。
アンケートや医療費データの分析を通じ、
高齢者の健康に役立てていきたい」

厚生労働省では、保険料収納率や健診受診率などを巡って、
各広域連合が取り組んだ事業を点数化した自己評価結果を発表。
点数をつけたのは08年度分から、
滋賀は09年度に全国第2位の高い評価。
広域連合議会の議員全員が、首長または副市長という体制を
組んだことで、自治体との連携が強まったことも奏功。

全国1位の大分県も、合併で18市町村に統合されたことから、
全市町村の会議を頻繁に開けるようになり、
事業を効率よく運営している。
医療費通知も、きめ細かく行うなどの改善も重ねている。

滋賀県の目片信・広域連合長(大津市長)は、
「加入者の幸せのため、さらに介護との連携も意識した事業を進めたい」
今後も広域連合の取り組みが注目。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/28/130447/

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