2011年1月4日火曜日

脳内のアミノ酸不足関与か 統合失調症、治療に期待

(2010年12月27日 共同通信社)

統合失調症の患者にみられる感情や会話、社会性の喪失といった
症状に関わっているとされるグルタミン酸の神経伝達異常に、
アミノ酸の一種である「Lセリン」の脳内での不足が関係していることを、
九州大の古屋茂樹教授らのグループが、
マウスを使った実験で24日までに突き止め、
米生化学・分子生物学会誌(電子版)に発表。

古屋教授は、脳内でLセリンを増やす方法の研究も進め、
統合失調症の発症メカニズムの一端を解明し、
治療薬の開発に結び付く可能性も期待。

Lセリンは、グルタミン酸の神経伝達時、刺激を受け取る受容体を
活性化させるアミノ酸「Dセリン」の元となる物質。
これまで統合失調症の患者について、
血液中などのDセリンの含量低下が報告。

古屋教授らは、Lセリンの供給源に注目。
遺伝子組み換えにより、脳内でLセリンを生合成できないマウスを
作成して解析、脳内のLセリンは正常なマウスの15%程度、
Dセリンは10%以下の含量まで低下し、
グルタミン酸の受容体機能も低下した。

古屋教授は、「特に脳内でのLセリン合成が神経伝達機能を
保つため、不可欠だと確認できた」
今後、マウスの行動異常についても観察し、統合失調症との関連を調べる。

※統合失調症

幻覚や妄想、集中力の低下など、さまざまな症状を伴う精神疾患で、
青年期に発症することが多い。
発症率は人口の1%程度。
詳細な原因は不明だが、脳内の神経伝達物質のバランス異常や、
ストレスなどの環境要因が複合的にかかわっている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/27/130347/

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