2011年1月4日火曜日

宙に浮く八幡平の地熱開発 国の調査予算大幅減

(岩手日報 12月24日)

クリーンエネルギーとして期待される地熱発電の国内開発計画が、
宙に浮きそうだ。
国の2011年度予算案の調査関係予算は、
外部有識者による事業評価で、廃止を含む抜本的改善を求められ、
大幅削減の見通し。
近年、地熱開発に本腰を入れていた国は、一気にブレーキを踏んだ形。

八幡平市の松尾八幡平地域では、
地熱発電事業化へ向け調査が進められ、
関係者は来年度以後の見通しが立たず、頭を悩ませている。

国の地熱開発促進調査事業の11年度予算案は、
前年度の約6億800万円から約1億4千万円に大幅削減される見込み。
地中の熱水を調査するパイプ試掘は、1本数億円かかるとされ、
試掘もできない勘定。

国が縮小へかじを切る契機となったのは、
5月の経済産業省の行政事業レビュー。
外部有識者が事業実態を点検し、執行や予算要求に反映する
「省版事業仕分け」だ。

同調査事業は、1980年度から10年度までに約930億円を投入し、
全国68地点で実施。
地熱発電が事業化されたのは5カ所で、
発電所は99年以来建設されていない。

地熱発電の開発についてレビューでは、
「費用対効果が期待できない」などの意見が多く、
廃止を含む抜本的改善が決まった。

経済産業省資源エネルギー庁電力基盤整備課は、
「安定し評価が高いエネルギーだが、費用対効果で難しいと判断」
と縮減の理由を説明。
「今後は、民間の手で調査や事業化を行い、
その後は(導入予定の)再生可能エネルギーの
電力全量買い取り制度を活用してほしい」

国は、08年12月から地熱発電に関する研究会を設置し、
発電能力の引き上げを摸索するなど近年、地熱開発を重視。
温室効果ガス排出量削減を掲げる中、
突然の後退に関係者は困惑する。

八幡平市は、松尾八幡平地域で出力1万キロワット程度の
地熱発電所の事業化を目指し、06~08年度と10~13年度に
企業とプロジェクトチームを組み開発調査を展開。
本年度は、地中の構造を調べる電磁調査などを行い、
来年度にも試掘を行う計画だったが、見通しは立たない。

田村正彦市長は、「非常にショックだ。
復活に向け、来年1年かけて手だてを考えたい」

プロジェクトのリーダーを務める地熱エンジニアリング(本社・東京)の
梶原竜哉探査部長は、「松尾八幡平地域が可能性を秘めているのは
明らかだが、国の支援がない中、企業で資金調達できるかは分からない」
と開発継続の方策を摸索する。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101224_7

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