2011年2月23日水曜日

評価される先生(4)横並び排除し意識向上

(読売 2月12日)

宮崎県立宮崎工業高校で行われた建築科の実習。

稲用光治教諭(50)が、「しっくいはまんべんなく塗って」、
「ここは回り縁だな」と、生徒に声をかける。

近所に残る伝統的建造物の模型作り。
「生徒に興味を持たせ、理解しやすい授業を」と、
稲用教諭が提案して実現。

宮崎県教委は2009年度、教員評価の完全実施に踏み切った。

立場に応じた能力や行動などについて、
校長らがSABCの4段階で評価する「職務行動評価」、
教師の自己目標達成度を見る「役割達成度評価」の2種類。

同高に赴任して7年目の稲用教諭は、
職務行動評価で最上位のS評価を受けた。
授業の工夫だけでなく、校長が考える学校目標を、
ほかの教諭に理解してもらう主幹教諭、
学習指導も担う教務主任としての活動が認められた。

稲用教諭は、「若い人の育成に、まだ不足の面があると指摘。
自分が何を求められているか明確にわかり、取り組みがしやすい」

田内博夫校長(60)は、「雑談ではなく、面談を重ね、
人間関係を深めた上で、互いに納得した評価を出せる」

04年度から試行が始まった同県の制度は、
アンケートなどで、教員の声も取り入れた全国でも先進的な例。
その「絶対評価・結果開示」という方法は、
評価される立場に慣れない教員にも受け入れやすい形として、
多くの教委で取り入れられている。

07、08年度の教員採用試験で、県教委幹部や小学校校長・教頭らの
口利きなどによる汚職が起きた大分県。
10年、「同じ学校教員の間で相対評価」という、
全国でも珍しい評価制度を導入。

最上位のAを10%、Bを20%、CDEを計70%の割合で、
校長が教員を評価し、教委が最終調整。
DEがついた場合、本人に結果が告げられ、
ボーナスカット、昇給抑制、研修の受講となる。

「県教委幹部らの不祥事を、現場に尻ぬぐいさせるのか」という
現場の反発もあるが、河野盛次・同県教委教育人事課長(53)は、
「人事考課に使うのだから、相対評価でないと意味がない」

客観的な評価を入れることで、
曖昧な基準で行われていた人事を改め、教育再生を図る。

教育界への信頼を一挙に失った不祥事からの起死回生の試みは、
横並び意識の強い教員の世界への挑戦でもある。

◆教員評価

2000年の教育改革国民会議が、
「教師の意欲や努力が評価される制度を」と報告。
01年、公務員制度改革大綱などを受け、
文部科学省が導入を都道府県・政令市教委に指導。
能力評価と業績評価(目標管理)があり、絶対評価方式を導入する
自治体が大半を占める。
以前の勤務評定は、形骸化が指摘。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110212-OYT8T00101.htm

0 件のコメント: