2011年2月26日土曜日

評価される先生(5)参観カードで相互理解

(読売 2月16日)

「質問に対し、子どもが単語で答えを返していた。
先生が、きちんと文にして話すよう指導し、非常に良かった」

横浜市青葉区の市立さつきが丘小学校で、
学校関係者評価の委員を務める松岡咲世さん(40)は、
授業の感想を「参観者カード」に書き込んだ。

「ほめるばかりでなく、注文をつける時もある。
直接は言いにくくても、カードなら書きやすい」

同小の学校関係者評価委員会は、保護者や地域住民らで構成。
学校側が、毎年まとめる自己評価結果について意見を述べ、
評価するのが主な役割。
校内視察や授業参観なども行い、気づいたことを学校側に提言。

参観直後に開かれた評価委でも、教員の指導ぶりに関して
様々な意見が出た。
渡辺正彦校長(63)は、「我々とは視点が違い、参考になる。
もらった意見を改善にどう生かすかで、学校側の力量が問われる」

参観者カードは、昨年度から、裏に教員がコメントをつけ、
委員に返す仕組みに変わった。
委員と教員の相互理解を深めるためで、背景には、2006年度、
評価委を設立した際の苦い経験がある。

当時、渡辺校長は、「学校をありのままさらけ出そう」と決意、
委員による校内視察や授業参観を採り入れた。
学校の依頼で就任したものの、教育の専門的なことまでは
分からない委員も少なくなかった。

授業中、落ち着かない発達障害児の姿を見て、
教員の指導力不足と即断したり、「雑巾が落ちていた」など
校内美化の問題に終始したりした。
このため、教員の士気は下がる一方だった。

渡辺校長は、評価委で実情を繰り返し説明すると同時に、
07年度には、委員と教員が直接話し合う場を設けた。
将来、委員になる可能性がある保護者や地域住民に、
学校支援ボランティアへの参加を呼びかけ、
校内の様子を知ってもらうようにした。

こうした工夫の積み重ねで、委員の意識が高まってきた。
ボランティア登録者は、今年度、300人を超えた。
発足当初から委員を務める地元自治会長の木元都恵子さん(75)は、
「最初は、あまり意見が出なかったが、
だんだん学校について詳しくなり、
活発に議論できるようになってきた」

委員と教員がなれ合いになっても、逆に反目し合っても、
的確な評価につながらない。
微妙なバランスを取りながら、外部の目を改善に
結びつけていこうとしている。

◆学校関係者評価

学校の運営や教育を点検する学校評価のうち、
保護者や地域住民らによる評価。
教職員による自己評価、外部の専門家による第三者評価がある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110216-OYT8T00239.htm

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