2011年2月22日火曜日

評価される先生(3)教員同士 授業を採点

(読売 2月11日)

「配った紙に書いてある『民族』になりきって、あいさつして下さい」
安田千恵教諭(28)の呼びかけに、
生徒たちは三つの架空の民族グループに分かれ、あいさつし合った。
あいさつのジェスチャーが違うため、
お互いの行動の意味が分からずにまごついている。

北海道の中富良野町立中富良野中学校で、
「多文化共生社会」をテーマに行われた1年生の道徳の授業。
教室の後ろでは、林晃淳校長(58)や福島康文教頭(47)らが、
授業の様子を細かくチェック。

授業改善のため、教員同士で授業を評価し合う取り組みが、
各地の学校に広がっている。
同中では、昨年度から本格的に始めた。
今年度、評価対象となる研究授業は、
国語、数学から道徳まで約100回だ。

林校長は、「本校は、一般教員13人のうち20~30歳代が11人もいる。
若手に力をつけてもらい、生徒の学力向上につなげたい」
自身も教壇に立ったと明かし、「率先垂範です」と笑った。

授業を見てもらう教員は、同中が重点を置く「授業構成」、
「明確・効果的な指示と発問」などの項目の中から、
自分がチェックを受けたい項目を選ぶ。

評価者は、A4判の「コメントシート」に、各項目を原則4段階で評価し、
自由意見も書き加えて、本人に返す。

今回、安田教諭が選んだのは、「子どもへの目線」、
「多様な学習形態」と、情報機器など「モノの使用」の3項目。

福島教頭は、「3民族の異なるあいさつなどをテレビ画面に映し、
分かりやすかった」と、モノの使用を「4」と高く評価。

多様な学習形態について、「グループ活動は良かったが、
生徒への指示が不十分」として「3」。
子どもへの目線は、「グループ別の人数がアンバランスだった」と指摘、
「2・5」をつけた。

評価結果に対し、安田教諭は「勉強になる。
自分の課題を客観的に見つめることができ、納得することも多い」と
謙虚に受け止める。
評価をきっかけに、どうしたら授業がうまくいくか、
同僚の教員に相談することも増えた。

林校長は、「生徒に出す指示が明確になるなど、
全体的に教員の指導技術が向上してきた」と胸を張る。
教員が、校務や授業準備に追われ、
評価者としてなかなか参加できないなど、課題も抱える。
小さな学校の挑戦は、これからも続く。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110211-OYT8T00180.htm

0 件のコメント: