2011年2月25日金曜日

粘膜ワクチン開発につながる研究成果

(サイエンスポータル 2011年2月21日)

粘膜を介して感染するウイルスのワクチン開発に、
一歩近づく研究成果が、東京医科歯科大学 難治疾患研究所の
樗木俊聡教授らによって得られた。

樗木教授らが着目したのは、ウイルス感染に対して
免疫系を調整する働きを持つインターフェロン
「Ⅰ型インターフェロン(IFN)」

Ⅰ型IFN受容体を持たないマウスで調べたところ、
腸管の粘膜リンパ組織から採取した形質細胞様樹状細胞(pDC)で、
APRILとBAFFと呼ばれる物質の量が減っていた。

粘膜では、病原体の侵入に対し、IgAと呼ばれる抗体が
病原体に取り付いて防御活動をすることが知られている。
APRILとBAFFの量が減ることで、IgAをつくり出す能力も
著しく低下していることも分かった。

これらの結果から、腸管粘膜ではI型IFNが、
形質細胞様樹状細胞(pDC)を刺激し、APRILとBAFFの産生を促し、
その結果、IgA抗体が恒常的につくり出される。

APRILとBAFFが過剰に産生すると、
全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や、
がんの一因になるとの報告も。

今回、IgA抗体をつくる新たな仕組みが解明できたことで、
まだ実用化していない粘膜ワクチンの開発に加え、
自己免疫疾患の治療法開発への貢献が期待できる。

科学技術振興機構(JST)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110218/

http://scienceportal.jp/news/daily/1102/1102211.html

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