2011年3月9日水曜日

教員の研修(2)元校長と授業振り返る

(読売 2月19日)

新潟県長岡市の夕暮れ。
授業を終えたばかりの木本高志・市立栖吉小学校教諭(36)が、
市の教育センターにやってきた。

市の教育委員会が実施する教員研修「教員サポート錬成塾」で、
指導役の元教師と一緒に、その日の授業を振り返る。

題材は、この日午前に行われた5年生の体育のバスケットボール。
校長経験者でもある広部隆司さん(63)は、
授業の様子を、自分で撮影した写真で流れを示しながら、
振り返りを始めた。

授業では、チームメートに責められたのか、涙を流す女子がいた。
「『何してんだと責めるよりも、励ます言葉を考えよう』と指導すれば、
子どもたちは応えてくれる」と、広部さんが語りかけると、
木本教諭は深くうなずいた。

「授業のアイデアを見てもらえるのも、この研修ならでは。
力のある先生に教えてもらえるのはぜいたくで、ありがたい」と木本教諭。

2003年度に始まった錬成塾。
小学校の教員になって4年目の木本教諭が受講したのは、
採用2~6年目が対象の「ベーシック」コース。

校長経験のある元教師から年5回、自分の授業について
事前と事後に研修を受けるもので、今年度は48人が受講。
7年目以降の中堅が対象の「クリエーティブ」コースもあり、
両コースでこれまで計約460人が受講。

若い人を育てるのは、年長者の責任。
現職の頃を振り返ると、もう少ししてあげられればよかった、
との思いもあった」と、錬成塾の塾長も務める広部さん。

「マニュアルを教えるのではなく、子どもを見て、
一緒にどうすればいいかを考える。
現職の頃よりも勉強になっています」

中堅や若手が、教員OBなどに学ぶ教育委員会主催の研修は、
東京都や宇都宮市など各地で行われている。

東京都教育委は06年度から、採用5~10年の若手を
ベテランが指導する「東京教師道場」を開催。
定員は毎年400人。
10人程度のグループに分かれ、2年間かけて互いの授業を見学し、
検討し合う。

都教職員研修センターの杉本昌彦統括指導主事(48)は、
「昨年3月の修了者について、校長の97%が『授業力が向上した』と
アンケートで回答している。
授業の細かな分析を2年間続ける中で、力が培われている」

◆ベテラン教員に学ぶ研修

宇都宮市教委は、今年度から、中堅がベテランと授業を公開し合う
「教員マイスター制度」に取り組む。
金沢市教委は、小学校のベテラン教員が指導する「金沢『匠』塾」を実施。
宮崎県教委も、ベテランが塾長になる「宮崎授業力リーダー養成塾」を実施。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110219-OYT8T00183.htm

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