2011年3月9日水曜日

インタビュー・環境戦略を語る:花王・後藤卓雄専務執行役員

(毎日 2月28日)

09年6月、「いっしょにeco(エコ)」をキーワードとする環境宣言
CO2排出量や水の使用量などについて、
20年時点での削減目標(05年比)を定めた花王。
エコロジーを経営目標の根幹として掲げるのはなぜか?
その狙いを、後藤卓雄専務執行役員に聞いた。

--環境宣言発表の経緯を聞かせてください。

◆花王は以前から、商品のコンパクト化や詰め替え化など、
環境対応に力を入れてきた。
企業の当然の使命ととらえ、あえて外部に
宣言するようなことはしなかった。

世界的に環境問題への関心が高まっている中、
環境問題に真正面から取り組む姿勢をはっきり示すべきだと考え、
花王石鹸発売120周年の節目の年(2010年)を前に、
生活と地球環境の新たな調和を目指そうと、環境宣言を発表

--「いっしょにエコ」という言葉に、どのような思いを込めたのか?

◆製造から使用・廃棄まで、商品のライフサイクルすべての段階で、
環境負荷を小さくすることが重要だが、我が社だけではできない。
お客さまと、パートナー(取引先)と、社会と、という
三つの「いっしょに」を考えた。

「お客さまといっしょに」は、花王の環境対応製品を
消費者が使う場面で、毎日無理なく環境負荷を低減していこうと。
「パートナーといっしょに」は、流通業者など取引先と、
流通段階での配送頻度の低減などに取り組む。
「社会といっしょに」では、00年から「都市緑化基金」と共同実施している
植樹活動「花王・みんなの森づくり活動」など、
社会と連携した環境活動を目指す。

--環境対応製品には何があるか?

◆環境宣言後に発売した、
すすぎが1回で済む濃縮液体洗剤「アタックネオ」、
少量で効き目の高い柔軟剤「ハミングネオ」、
すすぎ1回で済む柔軟剤入り濃縮液体洗剤「ニュービーズネオ」--
の「ネオシリーズ」は、花王独自の環境技術に基づいた
節水・節電型の製品。
昨年9月、化粧水「ビオレうるおい弱酸水」の詰め替え用を発売。

--今後の展開は?

現在、和歌山事業場内に次世代の環境技術の開発拠点
「エコテクノロジーリサーチセンター」を建設中で、
今年夏に動き出す。

新たな環境技術の開発を進め、環境宣言で定めた、
製品のライフサイクル全体でのCO2排出量の35%削減や、
製品使用時の水使用量30%削減を達成したい。

「アタックネオ」は、すでに中国とオーストラリアで
現地の洗濯文化にあった商品に改良し、発売、
今後もさらに海外展開を進める。
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◇ごとう・たくお

71年、新潟大工学部卒。花王石鹸(現花王)入社。
パーソナルケア・化粧品技術部長、常務執行役員などを経て、
08年6月から現職。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/02/28/20110228ddm008020022000c.html

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