2011年3月8日火曜日

教員の研修(1)定年後 新人の育成役

(読売 2月18日)

稲城市の市立稲城第三小学校3年2組の教室。
担任で新人の一色香織教諭(25)が、黒板の前に立つ。
チャイムが鳴ると、児童39人が次々に前に出て、
暗記してきた春の七草などを整然と発表。

秩序立った授業の背景には、この学級のもう一人の担任、
教員歴40年の白尾秀子教諭(61)の存在。

「お尻はイスの奥までくっつける」、
「机とおなかの間はこぶし一つ分だけ空ける」――
一色教諭は、白尾教諭の助言を受け、年度初めに生活習慣を
かみ砕いて黒板に書き、繰り返し指導してきた。
「白尾先生に言われなければ、ここまで細かくは指導できなかった」と
一色教諭は振り返る。

若手の指導力向上のため、東京都教育委員会は今年度から、
新たに採用された小学校教員に、ベテラン教師が
「新人育成教員」として、1年間付きっきりで指導する新しい研修を始めた。
全国でも珍しい試み。

白尾教諭は、一昨年春に同小を定年退職後、
今年度から新人育成教員となった。
「生活の乱れを後から直すには、大変なエネルギーが必要。
最初から良いルールを浸透させることで、学習もスムーズにいく」、
ベテランならではのコツを明かす。

「通常の研修だと指導は受けても、実際の教室の中まで
見てくれる人がいない。
この研修は、毎日家庭教師がいるようなもの。
若手の成長が格段に早い」、同小の寺井尚一校長(63)。

「『どんな学級にしたい』という目標は、どの先生も持っているが、
『どうやって』がわからない。
それを示してくれるのが新人育成教員」

学校では今、ベテランの大量退職が続く。
都教育庁によると、公立の小中、高校などで2005年度は
約900人だった定年退職者が、07~09年度は毎年1600人を超えた。
新人育成教員の事業費は、年間約5億円。
新人に手厚い研修を行うのは、1年目でも学校では
保護者たちから先生として完成された指導力を求められるため。

都は、10年度からの5年間で500人の新人育成教員を任用する予定。
今年度の新人育成教員の体験記を冊子にまとめて配布し、
経験を広めたいとしている。

◆ベテランの大量退職

1960~70年代、都市部では人口が急増し、児童数の増大のため、
団塊世代の教員らが大量に採用。
この時期に採用された教員が定年退職の年齢となり、
今後数年間は大量退職が続く。
都市部の各教育委員会では、採用枠を拡大。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110218-OYT8T00204.htm

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