2011年3月7日月曜日

インサイド:トヨタとスポーツ/5止 グループ企業は闘志前面 プライド持ち競い合う

(毎日 2月26日)

近年のスポーツ界では、トヨタ自動車のグループ企業も
各競技で全国優勝した。

女子バレーボールでは、10年にデンソーが全日本選手権優勝。
男子バスケットのアイシンは今年、全日本4連覇を達成。
女子駅伝では、08年に豊田自動織機が実業団を制した。
3社とも、トヨタ自動車本社がある豊田市に隣接する刈谷市に本社を置く。

スピードメーターやエアコンなど、自動車部品を製造するデンソーは、
かつてトヨタ自動車の開発部門。
今でも、トヨタが約25%を占める筆頭株主。
今は、トヨタとの取引は全体の半分。
09年度は、自動車部品製造会社で世界一の売上高を記録。

スポーツチームは01年にバレー、ソフト、バスケット、陸上長距離の
女子4部を、強化部に指定。
人事部にスポーツ強化室を置く。
支援理由を、永田将人室長は「棚に並ぶ商品ではないので、
一般の認識が低い。
スポーツで、ブランド価値を高める狙いもある

これまでソフト日本代表で、染谷美佳が08年北京五輪金、
バレーでも井上香織が10年世界選手権で銅を獲得。
永田室長は、「日本一になり、世界の舞台で活躍できる選手を輩出したい」

◆互いにライバル

アイシン精機も、トヨタが株式を約23%所有。
オートマチック変速機で高い技術力を誇り、
約4割はトヨタ以外の国内外の自動車メーカーとの取引。
トヨタ以外からも売り上げを得ているという状況は、デンソーと同じ。

社員の関心は高く、山田竜一郎バスケット部部長は、
「勝敗が(試合開催日の)週明けのあいさつになるほど」

日本リーグで、トヨタ自動車とも対戦機会があり、
「勝ちたいというより、勝たないと優勝できない」とライバル心。
バスケットは、外国選手も複数入りチームを構成するが、
「広告宣伝と思っていない。
企業として、プライドを持ってやっている」と山田部長。
コートは、相手がトヨタでも対等、と意識できる格好の舞台。

トヨタの一部門などから成長し、
「トヨタを追い越せ」と発奮するグループ企業。
一方で、本社や練習場が同じ愛知県内で近接していることもあり、
両者は底上げのため、さまざまに交流している。

豊田自動織機は、トヨタの豊田章男社長の曽祖父で、
グループ創始者・豊田佐吉が設立した「本家」。
今は、自動車組み立てとフォークリフト生産が主。
今季初めてラグビー・トップリーグに昇格し、トヨタ自動車とも対戦。
田村誠監督は、トヨタでラグビー部長なども務めた経験があり、
強化面でアドバイスも受けている。

女子ソフトは昨年、トヨタ自動車が日本リーグで優勝。
4位に豊田自動織機、デンソーも5位。
3チームは、シーズン前のオープン戦で頻繁に対戦する。
運動部の運営を担当する豊田自動織機ウェルサポートの
朝倉康善社長は、「『負けるな』という声が、社内で大きい。
グループ企業同士での切磋琢磨は強化につながる

◆実業団の灯消さぬ

NEC男子バレー部、日産自動車硬式野球部など、
複数回の全国優勝を誇る名門企業チームが次々と消えた。
その中で、「うちはやめない」と存続方針を打ち出して、
スポーツを支え続けるトヨタ自動車。
選手のレベルアップを担う、リーディングカンパニーへの期待は大きい。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/02/26/20110226ddm035050121000c.html

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