2011年6月22日水曜日

緊急連載 学校と震災(17)他校生・避難者と「同居」

(読売 4月21日)

「地域の皆さんが避難し、東六郷小の皆さんが同じ校舎内で勉強します。
不便なこともありますが、周りの人の気持ちを思いやり、
地域が立ち上がる大きな力となるよう、協力してください」。

4月13日午前、仙台市若林区の市立六郷中学校の始業式は、
教室で着席した生徒らに郷家雄二校長(55)が、
職員室から校内放送で呼びかける異例の形をとった。

生徒数約400人の同中で、体育館と武道館で避難者約370人が寝起き。
津波で自校舎が使えなくなった同市立東六郷小学校(児童数37人)が
校舎1階に入り、式の会場がなかった。
翌14日の入学式も、同じ形で行われた。

避難所の学校では新学期を前に、避難者に別の避難所に
移ってもらうケースが多い。
同中のある若林区自体の被災者が多く、近くの避難所も満杯に近いため、
3者同居での学校再開。

避難所運営委員の小野吉信さん(61)は、
「子どもたちの通学もあるし、今後の復興に向け、
今まとまって避難している地域の人間関係も維持したい。
仮設住宅が近くにできれば、移りたい」

避難所では、校内トイレも利用するため、
24時間開放の校舎管理で、男性教員が交代で泊まる。
学校が再開してからは、合唱祭、部活動などの行事、
多感な中学生と小学生のかかわりをどうするかなど、悩みは多い。

「一緒にがんばるしかない。落ち着いたら小中交流も」と郷家校長。
生徒会長の3年、高橋賢智さん(14)は、
「避難している人のお手伝いもしたいし、小学生が何か困っていることが
あったら世話してあげたい」

地震や津波で校舎が使えなくなった学校は多く、
宮城県内では20日現在、公立の小中学校43校、高校4校が、
他校など校外の施設に間借りして新学期を始める予定。

仙台市立荒浜小学校(若林区、児童数56人)
も、約7km離れた
東宮城野小学校(宮城野区、同179人)に移り、19日に再開。

荒浜小は、4階建て校舎の2階床上約50cmまで津波につかり、
避難した児童や教職員、住民らがヘリコプターで
陸上自衛隊霞目駐屯地へ移送。
校外にいた児童1人が亡くなった。

交流がほとんどなかった二つの小学校だが、20日には早速、
合同朝会が開かれ、児童や教員が顔合わせした。
川村孝男・荒浜小校長(55)は、
悲しみは残るが、幸い、子どもは順応性も高い。
心に配慮しつつ、別の学校の仲良しも大勢できて、
うれしいと思える学校にしたい
」と、新たな出発に期待。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110421-OYT8T00165.htm

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