2011年6月24日金曜日

緊急連載 学校と震災(19)大学生に支援の熱意

(読売 4月23日)

避難所の体育館から出てきた子どもが、
石巻専修大学4年佐原英晃さん(21)の腰をつつき、くすくす笑った。

4月14日、宮城県石巻市の市立住吉中学校
「顔見知りで、仲良しですよ」と佐原さん。

校舎掃除などを行う学生ボランティアとして、同大4年三塚光さん(21)と
一緒に毎日、同中に通い、もう20日以上に。

佐原さんは、震災時にいた同大構内に4日間とどまり、
15日、日和山公園そばの自宅アパートまで帰った。
がれきを避け、線路の上や水のない場所を探して歩いたら、
通常は車で15分の距離に4時間かかった。
街はぼろぼろだった。

「(河口近くの)門脇町には何もなかった。遺体も見た。
ガソリンと潮のにおいがまざったヘドロで、道がぐちゃぐちゃでした」

大学の前期授業再開は5月20日。
福島県にある実家の親は、帰ってこなくていいと。
街を何とかしたいと、3月24日に同大に開設された
市災害ボランティアセンターに登録、三塚さんと同中に派遣。

時間は昼休みを挟み、朝9時から午後4時まで。
車の交通整理、避難所の食事の手配、床上浸水した校舎の掃除、
支援物資整理などやることは山積みで、子どもとも遊ぶ。
斎藤達彦・同中教頭(54)は、「震災後まもなく来てくれ、
あらゆることをしてくれて、本当にありがたい」と感謝。

4月21日、避難者約200人と同居しつつ、同中は再開。
佐原さんは当面続けるが、三塚さんには最後の日。
5月9日から、実家のある栗原市の中学校で、3週間の教育実習。
「けじめをつけ、次をがんばりたい。
子どもたちと親しくなれてよかった」と三塚さん。

今回の震災では、東日本の多くの大学が5月の連休明け以降を
新年度開始日とした。
文部科学省が、ボランティア活動に単位を与える配慮などの通知を
各大学などに出したこともあり、日々、多くの学生ボランティアが被災地入りし、
家屋の泥のかき出しや家財道具、畳の運び出しなどを手伝っている。

食事、宿泊、移動手段などは自分で準備が基本だが、
日本財団(東京)が、東京と石巻市を往復する交通手段と宿泊施設を用意し、
学生ボランティアを募集したところ、遠くは琉球大学からも
参加者が駆けつけた。
「とにかく役に立ちたい、という熱意のある学生が多いようだ」。

学びの場として、本来の姿を取り戻そうとする被災地の学校。

現場を支える大人の中に、ひたむきに頑張る学生たちの姿がある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110423-OYT8T00219.htm

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