2011年6月23日木曜日

緊急連載 学校と震災(18)再開前の「補習」で安心

(読売 4月22日)

「いけいけ」、「きゃー」、「アウト、アウト」、「あはは」
4月15日、宮城県多賀城市の市立天真小学校
校庭でドッジボールをする児童が走り回り、
教室では先生からそろばん、漢字、算数などを教わっている。

この日は、児童の心のケアのため、21日の始業式を前に、
補習を兼ねて設けられた「学習支援日」。

「登校したくてたまらなかった子どもは多い。
体を動かしてストレスが発散できているようです」、
昨年度まで2年生の担任だった小泉優教諭(23)。

大震災のため、同市では21日現在、188人の死者・行方不明者。
市内に10ある小中学校の児童生徒は無事だったが、
親や祖父母が亡くなったり、家屋を流されたり、
市街地に押し寄せた津波を目の前で見たりした。

子どもたちが受けた心の傷は計り知れない。
市教委は、教員に心のケアの研修を事前に受けてもらい、
7日から学習支援日を始めた。
対象は新2~6年生、期間は学校ごとに3~9日間。

天真小では4日間、在校児童の9割が午前中に登校、
休憩を挟んで、約2時間を教室や校庭で過ごした。
同小には、避難者が一時約1400人いたが、開始前日に近くの体育館に
移動してもらい、教職員や保護者らが土足で汚れた校内を清掃。

支援日の児童下校後は、教員らが手分けし、ブロック塀が崩れていないか、
堤防が決壊していないかなど、通学路の安全を確認、
保護者にメールなどで連絡。
高橋憲章校長(58)は、「子どもの心に配慮しながら、
学校生活を送らせてあげたい」

6年の相沢愛海さん(11)、堀内大揮君(11)は、
「友だちが心配だったが、学校に来て安心した」とホッとした様子。
鍬形優歩君(12)は、「家が床上60cmまで浸水したけど、
友だちが手伝ってくれたり、食べ物を持ってきてくれたりした」

5月9日以降、学校再開を予定する同県南三陸町の
町立志津川中学校では、3月に未実施だった授業8日間分の補習、
生活のリズム作りなどを狙いに、新2、3年生対象で任意参加の
「学習会」が14日から開かれている。

午前9時40分から午後3時30分まで、
英語や数学、社会などをみっちり学習。
避難所ボランティアの炊き出しで、給食も用意。
2、3年で、計219人在学の予定だが、毎日80人~100人前後が登校。

同中では生徒11人の親が亡くなり、167人の家屋が流失。
菅原貞芳校長(58)は、「まだ厳しい状況だが、
だんだん表情が柔らかくなってきたようだ」

授業再開前の補習が、子どもたちの気持ちをときほぐしている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110422-OYT8T00232.htm

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