2011年6月19日日曜日

緊急連載 学校と震災(14)集団転入先 支援の手

(読売 4月15日)

福島第一原発事故で集団避難している福島県双葉町の小中学生は
8日、避難先の埼玉県加須市の学校で、入学式と始業式を迎えた。

小学生99人が転入した同市立騎西小学校では、
在校生が手作りの花のアーチで歓迎。
在校生代表の6年、寺島瑞季さん(11)が、
「心を一つにして、楽しい学校生活を送りましょう」と呼びかけた。

双葉町出身の5年、坂本千乃さん(10)は、
「歓迎の言葉を聞いて、少し緊張が解けた。
こちらから話しかけたら、友だちが2、3人できた」と、ホッとした様子。

松井政信校長(56)は、震災や原発事故について、
式辞ではあえて触れなかった。
式の終了後、「子ども同士が仲良くなるためにも、
加須と双葉の子どもを分け隔てなく育てたい」

市立騎西中学校には、69人が転入。
分け隔てなくという思いは、武正和己校長(59)も同じだが、
「不便な避難所生活を送る生徒に、教育的な配慮は必要」

転入してきた2~3年生に、PTAの協力で昼食の弁当を用意し、
午後から開かれた入学式に、在校生と一緒に参加できるように計らった。

避難所では、子どもたちが落ち着いて勉強できるよう、
学習室の設置が計画。
一緒に避難してきた同町の教員に、学習室での指導や、
転入先の騎西小、中学校で学習支援にあたってもらうことも検討中。

子どもたちに対する心のケアなど、共通する問題も多い。
同市と同町の教育関係者は、近く連絡協議会を発足させ、
解決策を探っていく。

原発事故で住民が避難した福島県の8町村のうち、
双葉町など6町村の子どもは、避難先の学校に転入。
大熊町と川内村は、県内の集団避難先に学校を移転。

川内村は、同県郡山市の学校を間借りし、

14日までに小中学校の授業を再開。
教育設備はそろっているが、「体育館や理科室などの利用で、
受け入れ校と調整が必要だ」(村教委)。

大熊町は19日、同県会津若松市に、
「大熊町立小中学校会津若松分校」を開校。
保護者から、「仲の良い友だちと一緒に勉強させたい」、
「原発事故で避難してきたという理由で、いじめに遭わないか」
との声が寄せられたからだ。

「故郷に戻れる日まで、大熊の子どもは大熊で育てる」と、
分校として利用可能な廃校舎があった同市に集団移転。
全小中学生の半数にあたる約580人が通う予定。

福島県教委は、「転校にしても集団移転にしても、
慣れない環境で勉強することは子どもの負担に。
教員は、子どもたちの心のケアをしっかりやってほしい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110415-OYT8T00221.htm

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