2011年6月24日金曜日

有機薄膜太陽電池の効率よい作製法開発

(サイエンスポータル 2011年6月16日)

低価格の太陽光発電方式として期待されている
有機薄膜太陽電池の効率よい作製法を、
分子科学研究所と米ロチェスター大学の研究グループが開発。

有機薄膜太陽電池は現在、さまざまな有機半導体のドナー性材料と
アクセプター性材料とでできた混合膜を、
透明電極基板の上に真空蒸着して作る方法が主流。
この方法は、100nm以下の薄い膜しかつくれないことが弱点。

分子科学研究所の嘉治寿彦・助教らと米ロチェスター大学のタン教授らは、
2種類の有機材料に加え、透明電極基板に付着しないような
液体分子を蒸発させる新しい方法で、4倍厚い薄膜を作ることに成功。

この手法で、さまざまな組み合わせの有機薄膜を作り、
電流を計測したところ、これまでより3倍から40倍、
ものによっては3,000倍以上という劇的な向上が見られた。

有機薄膜太陽電池は、最も普及しているシリコン型太陽電池に比べ、
太陽光を電気に変換する効率は低いものの、
低価格で作製できる長所がある。

ドナー性材料とアクセプター性材料を重ねた二層構造の
有機薄膜太陽電池が、1986年にタン教授によって世界で初めて報告、
このドナー性材料とアクセプター性材料との混合層(共蒸着層)を加えた
三層構造の有機薄膜太陽電池が、
1991年に平本昌宏・分子科学研究所教授によって開発、
各国で研究が進んでいる。

今回開発した手法は、従来の真空蒸着法よりも結晶性の良い
混合膜を、簡単に作製することができるため、
より変換効率のよい低分子型有機薄膜太陽電池を実現することができる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106161.html

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